千野秀一 + 組原正

hyoi』は、アヴァンと、言えるのだけど、『inkuf』はギターの音という感覚が薄くて、何かに形容し難かった。なので昨年のレコ発でハッキリ見極めようと思ったのだけど、正直、よくわからんかった。ので、今夜のクラシックス千野秀一とのデュオというのは絶好の機会。
1時間ぐらいの即興を2セット。なんとなく組原のやってる事は掴めた。一番気になっていたのは、弾いているのに音が出ていない、という事だったのだけど、多分サンプリングしてそれをカオスパッドなりのエフェクトで素材として扱っている、と、思ってた。し、多分そういう事だと思う。のだけど、必ずしもそういう事でもない。ボリュームをミュートして、薄く弦の音が聴こえる。これは多分そういう事だと思う。そしてそのギターから発せられる音は、ギターというイメージの音とは全く異なる。不思議なぐらい、何にも似ていない。フレージングというか、まあそういう弾き方ではないけれど、とにかくそれとしていうと、短いセンテンスになっている。アヴァンにそこに嵌り続けてトコトンと進む感じは無い。んー、色んなギターを聴いてきたけれど、この異物感は圧倒的かも知らん。即興というところで演奏できるのにライブで聴く殆ど機会が無かったのは、ジャズ的なところとの接点がないからだと思うのだけど、こんな音があるっていう事を思いっきり感じ取れた。そうなったのは千野の音も大きく関係する。千野はピアノだけじゃなく、ショルダーなキーボードも扱って、なんかモーグっぽい音だなあって思ったら、ホントにモーグだった。あー、こういうタイプもあるのか・・・。そのモーグが1stはベース的な役割だったのに、2ndはアグレッシヴなアプローチ。千野の演奏は何度か聴いているけれど、こういう感じは初めて聴いた。ピアノもエフェクトを使っていたし、ツマミな卓モノもビービーと鳴らす。千野の本性ってもしかしたらこれなのか?
1stが多彩で、2ndがノイジーの強い感じ。1stで組原の音の中で千野のピアノが薄く聴こえてくるところとか、かなり美しい瞬間。が、2ndの終盤、ノイジーが終わって千野のピアノがピアノという楽器の持つ気持ちよさで独奏になっていたところを組原がガッと音を被せてきて、なんかおかしかった。んー、やっぱ、即興って、面白いな・・・。