Patti Smith and her band JAPAN TOUR 2013

昨年『Banga』がリリースされた時、レコファンでそれを見つめつつも、「まあ、とりあえずいいか」と。正直、Patti Smithをくまなく聴いてないってこと。なので今回の来日も、「まあ、とりあえずいいか」と、思ってた。が、数日前、なんとなくチケットのはけぐあいを確認すると、まだ残っている。が、水曜は都合があったので行けるのは木曜なのだけど、その木曜は下北沢のガーデンに行くつもり。が、それ、チケットは当日狙い。して、考える。木曜ならハコはオーチャードホール。水曜ならAXなのに、なんでまたロックをわざわざ座って聴くか?って。が、久々に『Land』とか、聴いてみる。思い直した。機会は常にあるわけじゃない。なんやかんや、ロックと言うかパンク、結局今でもオレにはこれが一番必要。NYパンクのPatti Smith。知らん顔しての後悔はやめた。
で、火曜にローチケで手に入れたのは当日引換券と言うヤツ。当日券のとこでチケットに変えてもらうパターン。チケットを貰って3階と書いてあってなんか複雑な気分。してその席、高所恐怖症のオレにはちょっと厳しい感じ。が、仕方がない。
Patti Smithと彼女のバンドがステージに現れる。1階の客席は即総立ち。いいなー。オレも立ちたいなー。とか、立つわけには行かない場所で思う。演奏が始まる。今この視界にいるのはあのPatti Smithなんだな。と、思いながらも、あまりのめり込めない。大人なロック、している。Pattiは所謂復帰後は、その前のアクの強い歌い方とは違っている印象なので、まあそれだな、と。インスト陣の演奏も洗練されていて、あーでもそもそもNYパンクって、っていうか、Televisionなんかって結構こういう演奏だったよなあ、とか、考えたりしていた。どう頑張ってもクラをメインで作ったハコなので、ロックの音が嵌るはずない。そうなるとやっぱ昨夜のAXだったんだろうなあ、とか。勿論それでも耳に覚えのある曲がくると嬉しい。が、Pattiは時々手拍子の要求などもあり、やっぱちょっとなんか違うと言うか、もうNYパンクのなんたらっての、とか、外して聴くべきだな、と。そうやって思うと、実は結構歌唱は大きいし、上手い、とも思う。まあなんであれ、とにかくこうやってあのPatti Smithを聴けてるんだからそれだけで満足できる気分もあるな。と。してもう終盤近くだったか、Pattiが一旦引っ込んでギタリストがヴォーカルするR&Rなメドレー。ここで「Born to Lose」なんてのが挟み込まれて、ここでやっと気持ちが上がった・・・。再びステージに戻ってきたPattiもちょっと歌ったりしてたのだけど、基本的には前の方の客とコミュニケーションしていて、この演奏の印象は主役が不在な状態なわけで、それが今夜の一番ってのはなんか、、、とか、思った。のだけど、この後からバンドがロックなグルーヴをかましだす。してPattiも、ロックな歌い手の顔。あのアクの強い歌声が出てきて急にロックになった・・・。この後に「Because the Night」もかまされる。まあこの曲、最悪これが聴ければとにかく満足だと思っていたのだけど、この曲ならメドレー前の感じでも大丈夫な曲なのだけど、アクが入り込んだ歌声にやられてしまう・・・。して、気が付くと本編終了。もうこの辺りのオレはあがりっぱなし。が、勿論座っている・・・。
アンコール。なんかいきなりアジるかの様な煽りをかますPatti。英語なのでよくわからんけど、オレの気分は継続。して、「Rock 'n' Roll Nigger」が来やがった。なんとなくこの曲はやらん気がしていたので余計、ヤバい。しかも途中でPattiがエレキを抱える。少しだけフィードバックなんてのもして、更に本職のギタリストの音よりも目立つささくれ立った音。ヤバい。が、ギターアンプがトラぶったようで、ローディーが出てきて色々して、結局別のギターアンプに替える。この間に「もうギターはいいや」ってなるんじゃ?って思ったのだけど、そうならず、またしてもPattiのギターがアグレッシヴな音。して、ここから「Gloria」につなげる。あーーー、そうきたかーーー!、と・・・。して、最後、Pattiは何か言いながらギターの絃を引っ張って、何本か切った。あの時何を言っていたのかわからんけれど、絃を引っ張って無理やり切るというそれ、それとおおらかにも見えた色々、混ざり合って、あれがPatti Smithという強烈な個性。思い知った。
なんとなくとりあえずな気分で足向けしたライブ。が、結局、ニヤニヤしながらの帰路になった・・・。