不失者

灰野敬二は、とにかく、気になるミュージシャン。だけど、個人的には不失者を特別には思ってなくて、あくまで灰野のユニットの一つ、という考え。だったので、今年の1月にやっと不失者名義を見た時はホッとしたのだけど、まあログに書いた様に結構ヘヴィーだった。が、あの面子はヤバいなって思ってたのに、面子が変わってしまい、ベースが亀川千代でドラムがRyosuke Kiyasu。が、オレは全く知らない人達。なので、ちょっとなんかなーって思ったりしたのが本音で、でもそれじゃあガンズは昔の面子じゃないと、とか、言ってる連中と同じだな。まあとにかく今の面子に変わってから今夜が3度目の観賞。ってことで今年は4回も不失者を見たのか・・・。スーパーデラックスの十周年記念の一環。
SDLXは音圧で聴かせるハコではないので、不失者というやり方が嵌りにくい、と、正直思っていた。して、やはりそういう音だったのだけど、なんかでも、こういう音だから不失者の音がよくわかった。ノイジーはあるけれど、ノイズというジャンルとは違う。まあこれは今夜思ったわけじゃないけれど、それがクッキリと感じれて、灰野のギターはSDLXのコンクリートに馴染むようにガレージに響く。亀川のベースは重低音ではないけれど、うねる様にベースラインしていて、結構音が動いている。Kiyasuのビートはガッツリと腰を落しているけれど、ここもヘヴィー、という言い方はちょっと違って、ある程度のスピード感で音を連ねている印象。この3つが絡むというより、噛み合って、バンドとしての形が作り上げられてるな、と。して、終盤近くにはアヴァンとは違う明らかなロックというスタイルの演奏もあって、これってこの3人だから、なのかも知らん。ナスノミツルと高橋幾郎の時は、こういう音の印象はなかったし、あの時の灰野は歌とギターだけじゃなくてフルートやシンバルなんてのも扱っていた。これは多分、今の不失者では曲そのもので変化を持ち込むという事、だと、思う。
SDLXの場合、客が多いと視界が結構厳しいのだけど、今夜はそれを逆手に取ったというか、ステージはかなり暗くて、結構前方に居ないと肩から上ぐらいしか見えないのだけど、これだけステージが暗ければ見る事に気をとらわれず音の方に意識を持っていけるし、わずかなステージの演出として赤い一本の光のラインが背面に映っていたのだけど、これがカッコよかった。時々わずかにストロボを使ったカメラが光ったりしていたのだけど、あれも演出の様に見えて(というかカメラじゃなくてホントに演出かも知らんけど)、トータルの出来、印象的。