今井・井野

今井和雄と井野信義は時々、土曜のピットインの昼の部でライブをやる。けどまあ、ジャズとかに関係しているところが何故かこの組合せのライブを取り上げないので、うっかりすると見逃す事になる。まあ、そういうものはあてにならないって事だな。
今井と井野さんの組合せは、ここ数年は千野秀一とのトリオ編成を見る機会が多かった。ピットイン以外でクラシックスなんかでもこのトリオの演奏を何度も聴いている。けど、デュオで演奏しているってのもあることは知っていたけれど、足向けしにくいところだったりしたので、今日のライブは今井・井野というデュオに接する事の出来たタイミング。
勝手に、フリーインプロを想像していたのだけど、外れた。2セットとも、ほぼThelonious Monkの曲。両セットに1曲ずつ、Monk以外の曲。って、これはオレの耳で判断できたわけじゃなくて、今井がMCでそう言っていた・・・。けど、さすがに、「あー、Monkの曲だよなあ」というぐらいには気付けていた。曲が即興にいたるための手段だったり、或いは曲そのものを活かす即興を挟んだり、する。ここでの音楽はジャズ。他に言い様がない。フリー気味のジャズはアヴァン含みになりがちだけど、この2人のは、そういうのは感じない。
2人とも楽器の音そのもので演奏する。井野さんの艶っぽいアコベは時々アルコで金切り声を上げるし今井の弾いたラインをそっくりトレースして見せたりする。色んなアコベ奏者を聴いているけれど、井野さんの音にある余裕は、他とは違う。だから今井は多分、井野さんとの共演が多い。井野さんのベースがあるから、今井はやりたいようにアグレッシヴ出来る。で、毎度、やっぱオレがライブで聴いたギターで、最も凄みを感じるのは今井だと、認識する。単音の羅列の緊張感と、抽象的なコードワーク。音色。どれも、ちょっと、孤高。