大友良英3デイズ / 見えない境界、見える境界 - 楽日

ピットインでの大友良英3days、楽日。今夜は大友、アコーディオンの佐藤芳明、笙の石川高、サインウェーヴのSachiko M、アコベの鈴木正人、ドラムの坂田学という組合せ。
正直言うと、この3daysのこの楽日だけ足向けしないつもりだったのだけど、初日に大友がMCで最終日のチケットに余裕が・・・と言っていたので、まあどうせ暇だしって事で、若干消極的な足向け。なのだけどこの2日間のライブは、ピットインという場で聴く音としてはイレギュラーなタイプのものだったので、今夜は編成的に、所謂バンドとしての音が聴けるという事も、丁度いい気がしていた。この楽日だけ「大友良英 Invisible Border」というサブなタイトルがついているし。
1st、いきなりDolphyの「Hat and Beard」って事で、ONJな気分。まあ、ONJといえば芳垣のドラムと水谷のアコベが当然だけど、鈴木と坂田のリズム隊も、言うまでもない手練。こういうハッキリとしたリズム隊があると、やっぱ、熱っぽくなる。このセットは4曲だったと思うのだけど、更にMassacreの「Legs」なんてのもかまされて、大友のギターもアグレッシヴ。
2nd、序盤緩やかにはじまる。と、客席で飲み物を片手に、ストローでグラスの中の氷をかき回しながら歩く女性。テニスコーツのさやだった。休憩中にテニスコーツの2人が客席にいるのに気付いていたので、今夜は観賞に来たんだな、と思っていたら、ここでさやが演奏に加わる状態。客席を歩きながら、氷を鳴らす。今夜の客が皆さやを知っているとは限らないので、知らない人が見たら空気の読めない客か、ちょっとヤバイ人と思ったと思う。実際、怪訝な顔している人とかいたし・・・。が、あのハミングの様な歌声が絡み、バンドの方に近づくことで、これが演出だと、まあ、多分気付いただろうと、思う。して、植野隆司もバーカウンターの前でアコギを弾き出す。1stの空気が一変。独特の浮遊感が持ち込まれて、なんか、幸福な気分になる。テニスコーツの2人はその曲のみの参加。この後、いきなりアグレッシヴな曲に変わる事をせず、石川の笙とMのノイズが絡み、緊張感のある展開からはじまる。しかし、この手の音、今夜もガッツリと気持ちよく嵌る。していると、徐々に他の音が加わり、気がつくと音圧で笙とMのノイズは聴き取れない。んー、ホントは聴いているのかもしれないけれど、気付けない。そうやって打ち消されて、けど最後は音が戻ってきた。この後、大友のアグレッシヴと、佐藤のアコーディオンの音が入ってきやすい演奏だったのだけど、ところどころ薄く響く笙の音や、サイン波じゃなくてブチブチとした方のノイズがあったり、大友と坂田の強烈な絡みがあったりするのだけど、どんな場面でもクールでテクニカルなアコベの音を響かせる鈴木が一番大人な態度に見えてしまったり・・・。
アンコールは『その街のこども』のテーマ曲。『その街のこども』は阪神淡路大震災から十数年後を描いたドラマ。それが放送されたのが、ググってみると2010年1月17日らしい。まあもちろんそれは見たし、そのドラマから少したった時の大友のライブに森山未來がゲストで加わったあのライブも見ている。まあそれはそれとして、311の1年ほど前にこのドラマがあったっていう事が、偶然とはいえ、関係した人達にとっては、なんとも、じゃないだろうか?
本日も休憩中に物販を利用。昨夜は帰りにちょろっと覗いたのだけど、あったら買おうと思ったテニスコーツのCDはなく大友のCDしかなくて、エサ箱も見当たらなかった。のだけど、今夜はエサ箱復活。ちゃんと補充されていた。って事で、Mと大友とエイジアンと思われる2人の名前が書いてある『Sweet Cuts, Distant Curves』と、エサ箱の中から1枚を購入・・・。