大友良英3デイズ / 見えない境界、見える境界 - 中日

ピットインでの大友良英3days、中日。今夜は大友、テニスコーツ飴屋法水という組合せ。
昨夜もそうだったのだけど、今夜も特殊セッティング。ただ、昨夜は通常の客席が並ぶところの中央で3者が向かい合ってという、まあ、ピットインでの大友が時々使うパターン。今夜は中央付近にアップライトなピアノ。トイレの近くのスペースに大友が陣取って、ステージの右手に飴屋、ピットイン備え付けのグランド・ピアノはステージ左手に寄せられているけれど、音が出せるセッティング。まあそういうところに客席をセッティングしているので、ベストってのは多分無い。ので、自分の注目が目に入りやすいところに落ち着く。オレの場合は飴屋。
飴屋はやはりパフォーマンスという見方での注視。けど、CDJ2台を扱うセッティングで、それ以外にも小物も少し。テニスコーツのさやと植野隆司は、ソールドアウトした今夜の客席というか立見も多数な中を、動き回りつつ、歌うし、ギターを弾く。大友が主にエレキを使い、ドラムセットの一部を持ち込んでそれを使ったりしていたけれど、今夜も音圧での演奏とは違う。さやはマイクを持つ事も少なく、素の声。鍵盤ハーモニカを持ったり、アップライトを弾いたりもする。歌、があるので、あくまでも曲という枠はあるのだけど、大友や飴屋の音は、決まりごとは無いはず。音楽の調子を作っているのは植野のアコギだと思うのだけど、大友の色はハッキリ出る。そうこうしている内に、飴屋がステージから離れて色々。あ、そういえば1stの初っ端も、アップライトにドリルで穴を開けたりしてたな・・・。飴屋のやる事は、まあ、奇妙な事で、何故かセッティングされていた脚立にオフロード仕様に見える三輪車をのっけて、ハンドルのところにろうそくのように火を灯したり、更に、それより高い脚立に登ってパフォーマンスしようとして、結構やばい失敗したり・・・。そんなのを見せられつつ、でもさやの歌声が耳に残る。
2ndは1stよりも崩れた感じで、MCなのかなんなのか、飴屋が離れたところにいる大友に話しかけて、一緒に演奏しようという事になり、二人羽折なギター演奏・・・。しかも「教訓」を歌う・・・。1stから笑わされたけど、2ndはある時間帯は笑いっぱなしになってしまう。けどやっぱこのセットはピアノ解体。飴屋がピアノを壊したいといって、アップライトを壊しにかかる。まあ、それように用意したものって事。現場で使うようなでかいハンマーで壊しにかかる。が、そう簡単につぶれるわけも無く、結局は元々蝶番なとこや、如何にも壊しやすそうなところなんかが取れただけ。その間、さやは見えない位置になったグランドピアノを弾き、大友はシンプルなフィードバック。植野は見当たらん・・・。それを見ていて、最初は面白がったのだけど、正直、途中からなんか変な気分になった。これも勿論パフォーマンスというエンターテイメントだと思うけど、でも、目の前でピアノを壊そうとしているのを嬉々として見続けるのはちょっと苦しかった。目をそむけたかったのだけど、そうすると他が皆そこを向いているため、それはそれで変な感じで他の客の顔を見る状態になり、それもイヤだったので結局ピアノ解体を見ていたのだけど、んー、なんか、これを皆が楽しんだとしたら、ちょっと変な気がする。
アンコールで大友が三輪車で壊れかけのアップライトの周りをぐるぐるして、飴屋はピアノの上にのっている。けど、さやと植野が「たましい」って何度も歌うあの歌。なんか、ライブって、その場でしかわからんものあるけれど、今夜のは特に、それ。あれを録画したって何したって、あまりにも納まらないだろ・・・。