2012 梅津和時・プチ大仕事@新宿PIT INN - 咆哮する魂。

ピットインに連荘。ってことで、まさかのFire! スルーという事になってしまった。が、見たいものの天秤はあるわけで、昨夜と今夜のピットインの面子の方が、Fire! より興味深かった。
今夜は梅津和時のピットイン6daysの初日にあたる。梅津さんと板橋文夫のコンビに加えて、スペシャルゲスト扱いの石橋凌ARBは高校なガキの頃に『HAPPINESS / SAY! NO!!』というシングルをなんとなく買って、気に入った。が、あまり金のないガキなので、アルバムは買えず、でもなんかシングルも違うと思い、次に手にしたのは『Blue Color Dancer』という、ちょっとだけ古い12インチシングル。その後、『BALLADS & WORK SONGS』と『BLACK Xmas』というコンピを買ったのだけど、それを聴き倒して、ARBへの興味は無くなった。ってのも、ARBが解散して、その後にたまたま見た『いいとも』で石橋が音楽を止めたのは役者に専念する為と言っていて、なんか萎えたんだよな。でも、今でもカラオケで時々「魂こがして」をぶちかましてしまったりするので、やはり忘れられない。ってことで、足向け。
1stは梅津さんと板橋さんのデュオ。昨日、手数の多いピアノはあまり好まないって書いたのだけど、まあ、板橋さんはそういうタイプで、かつ、ドシャメシャする。ので、あまりその演奏を聴きに行く事はないのだけど、久々に聴くと、こう、気持ちが入りまくった演奏ではあるという事はよくわかる。というか、結構、引き込まれた・・・。前言を撤回したりはしないけど、体調によってはああいう派手なピアノも良いのかも知らん・・・。で、梅津さんのサックスの音色に、今回もニヤニヤする。こんなに色っぽい音色のサックスはそうそう、無い。つーか、オレは知らん。あの音色でぶりぶり吹いたりもするわけで、やはり梅津さんのサックスは特別。だと、断言できる。で、この1stは板橋さんの「渡良瀬」と、震災後を意識して書いたと言う2曲、更に梅津さんの「東北」という構成だったのだけど、どの曲も正しく日本人にしか書けないジャズで、とりあえず、美しい、と言う言い方しか浮かばない。
2ndも最初は梅津さんと板橋さんのデュオ。ここで梅津さんはクラリネットに持ち替える。ここでは1stの派手さは押さえつつ、けど、より、情念のこもった演奏。して、スペシャルなゲストの石橋が加わる。最初に歌われたのは「Got My Mojo Working」で、そうくるか・・・、と、思ってしまった。この後、石橋のソロ名義の曲などが歌われる。石橋はスツールに座って歌っている。イメージ通りの声量は健在。が、正直、ちょっと、なんかノれない。よくわからんのだけど、なんかそういう感じになった。多分5曲ぐらいでセットは締まったのだけど、セットの最後は「魂こがして」だった。流石に、この曲が歌われると、耳が引っ張られた。あの歌をピットインで聴いているという事に、やっぱ、ちょっと気持ちは上がる。けど、この曲で石橋という歌手は、もう、ロックではないという事がハッキリしたと思う。「魂こがして」は、歌詞じゃない部分の「イ・イ・イ・イェー・イェー」が、ロックとしては、最もな部分だと思うのだけど、そこを端折った歌になっていた。善し悪しの話ではない。
アンコールは「After '45」。あー、この曲も、結構、好きなんだよなあ。「魂こがして」も「After '45」も、歌詞もメロも、完全に頭の中にあるし。「After '45」は元々バラッドな曲なので、今の石橋のスタイルには、こっちの方が嵌っている。更にもう1曲ってことで、「Stand by Me」を客席を煽りつつ、大団円。