ジャズ非常階段

ノイズを演奏するミュージシャンを、ノイジャンという言い方する。ノイジャンと言い切ってしまうとすると、その定義ってなんだろうな？って考えてみると、ノイズしか演奏しない、或いはノイズしか出来ないミュージシャンだろうなあって思う。だからやっぱ、大友良英はノイジャンでは無い。ので、ピットインでノイジャンの演奏を聴くという機会はやはり少なくて、まあでもSachiko Mや中村としまるの様な弱音の人はあったけれど、そこはちょっと外すと、大友がセッションしたインキャパシタンツと、坂田明のちかもらちにフィーチャーされたメルツバウがあった。で、今夜は非常階段が坂田明と豊住芳三郎をフィーチャーしたライブ。ノイジャンがピットインのステージってのは初ではないけれど、ノイズのバンドが冠でのライブってのは、初かもしらん。
1stは面子を入れ替えて4つのセッション。ギターのJOJO広重＆卓モノのT.美川＆ドラムの豊住芳三郎、豊住＆ヴォーカルのJUNKO＆ボトルネックなアコギの小堺文雄、サックスの坂田明＆小堺＆美川、坂田＆広重＆JUNKO、だったと思う。短めのセッションとはいえ、2つ目以外は常にエレクトリックなノイズをかまされた。このやり方、ジャズ非常階段というタイトルを意識したもの、だったと思う。
2ndは全員揃い踏み。カオス。ジャズを拾うとすると、坂田さんがクラリネットを扱ったときぐらい。まあとにかく、終始カオス。特に坂田さんのアルトとJUNKOの高音のヴォイスが強烈で、座っていたのにもかかわらず、ビール2本しか飲んでないにもかかわらず、かなりクラクラさせられる事が何度もあって、どこかに非常階段が無いか？って思ったりした。
非常階段の作り出すノイズに圧倒されたけど、凄みを感じたのは坂田さんと豊住さんだった。抑揚なき2nd、エレクトリックな仕掛けで乗り切れないこの2人の楽器は休むことなく音を撒き散らしていて、圧巻。
しっかし、あんな音を聴いてしまうと、非常階段の録音物は聴く気になれないな。今夜の演奏がなんらかの形でリリースされても、まあそれを手にするだろうけど、再生はしないかもしれない。やっぱライブってのは、その時が圧倒的。特に今夜のは、録音ではどうしようもない。あーでも、今夜のライブを見ていなければ、ライブの印象のない状態で聴くことができるとしたら、それは当てはまらないかも知らん。