Breath Passage 2011

全く、抑えられず、plan-Bへ、足を向ける。姜泰煥のアルトサックスを、もう1回聴きたい、聴くチャンス。しかも田中泯との共演。舞踊家の田中さんとの共演という事は、音は姜さんの独奏状態なわけで、耳はあの音だけにできるし、目は、田中さんの、あの動きに、焦点をあわせられる。
音楽以外の前衛は門外漢だけど、田中さんはBaileyとの共演で名前を植えつけられている。何年か前、plan-Bで大友との共演を1度見ただけだけど、その時も、静と動とか、まあ、ありがちな言葉しか浮かばない悲しさはあるけれど、とにかくそういう動きと間と、ストイックである事とか、いろんな事が頭の中に残っていた。
多分PAは無い状態。姜さんのアルトが生音で響く。Grassを思わせるミニマルなフレーズと、ロングトーンの組合せが基本。あーやっぱ、この音は美音。これは木管楽器の最も優れた音色。フジTVウォッチャーでありながらあまり韓流にのっていないのだけど、姜さんの音を聴くと韓流な人になった気分になる。
田中さんの踊り、動く姿、は、オレには意味性を理解することは出来ないのだけど、目は逸らせない。なんか知らん。けど、見る。目を逸らす理由が無い。ただ、見る。ここはあえて、カッコいいと言いたい。あのダンスは、耳が美音に引っ張られ続けているのに、そこに気持ちまでも引っ張らせない。
終演。して、田中さんのエッセイ集が発売になるとかで、それを物販。どうも、サインもしてくれるらしく、当然物販に手を出してそれを待っていた。plna-Bは音楽向けのハコとは違うので、舞台のある場所だけじゃなくて、客の待機する場所というのが併設されている。そこで待っていると田中さんが入ってきた。事前に自分の名前を紙に書いておいて、それを見ながら田中さんがサインしてくれる。緊張するのだけど、ここで少しだけ話すことが出来るので、門外漢としてはそういう余計な事は言わず、沖縄出身のオレの風変わりな苗字に反応してくれたので、そういうのをちょろっと。思いっきり前な表現をする人なので、気難しいタイプかと思っていたのだけど、全然、違う。フレンドリー。あー、こういう人、なんだ。と、思うと、嬉しい。
ホクホクした状態で帰路。事前にすぐ近くにあるバス停から渋谷行きのバスに乗れると知っていたので、そこに行ってみる。時刻表を見る。あ、わずか1分前に行ってしまったか・・・。うーん・・・とか思っていたら、渋63が来た。なんだ、ラッキーだ。丁度だ。って、ホクホクは続き、しかも車内はガラガラだし、サインを貰った本を取り出してそのサインを確認して、結局ニヤニヤ。
とりあえず年で区切るけど、この時点で、これが個人的な今年のベストなライブだとわかる。これはちょっと、これまでのとは違う。美音と肉体の動きで耳と目が同時に別方向に引っ張られる。予測とかの余地が無い。ただ、追う。しか、出来ない。