Phew x 高橋悠治

まず前座がSachiko M。Mのライブは、殆ど大友がらみでのしか見てない。なのでソロを見るのは初。それを、渋谷WWWで、スタンディングで見るっていうなかなかな状態。開演予定ちょい前についてビール飲んでタバコ吹かして、中に入る。思ったより人がいる。この人たち、これからどんな音楽が始まるか、知っているのだろうか?って、思った。
この環境を全く意に介さず、MはM。ドローンっていってもいいのか?って思うのだけど、単音がピーと続く。けど、ハコの大きさがあるから、それをグルグルと回していて、音が動くのがよくわかる。そして時折、もうひとつの音が加わり、けど気づくと1つに収まっている。この音そのものは、多分、ノイズなのだと思う。そうとするとMの音楽は、ノイズのハードコア、かも知らん。
Phew高橋悠治。このシンプルな組み合わせ。昨年のPhewのレコ発は独特な雰囲気の音楽だったけれど、その歌には不安定さもあったと思う。今夜は、個人的には、そのレコ発よりも引き込まれた。何よりもPhewの歌声。演奏された曲でタイトルがわかったのは「生きる権利」と「The End」しかなかったけれど、それ以外のどこかで聴いたことのある曲や知らない曲も全部、Phewの歌の存在感が凄かった。歌伴に徹した高橋さんの端整だけど冷たくないピアノ(数曲でオルガン)は、Phewに余裕を与えているように見えた。
どの曲も短く、あっという間に終わる。それが紡がれていくのを聴きながら、歌のもっともシンプルな姿の強さを思った。歌い手が演奏しながら、ではなくて、たった1人にそれを託して、歌う。歌う事に徹する。託された相手が高橋さん。Sex Pistolsに惹かれてパンクした歌い手が、あの高橋悠治に音を託して歌っているという時間。か。