Fernando Kabusacki Japan Tour 2011

考えた末に、次Kabusackiを聴ける機会っていつさ?って思ったら、予定を変えてo-nestでライブ鑑賞。こうやって色々とオレは、、、まあ、いい。Kabusackiを聴きたいという欲求に、元々の予定は勝てて無いだけの話。こうやって色々とオレは・・・。
1stはKabusackiとギターのトクマルシューゴとドラムのイトケンの演奏から始まる。イトケンはd.v.dでの演奏を見ているけれど、トクマルシューゴは、名前を見た事はあってもそれだけだった人。探りあいみたいのはあまりなく、すぐにアヴァンなロックの展開。ボトムの強いイトケンのビートと、キンキンで硬めな音のトクマルシューゴのギター。440でのライブや録音物で知ってるKabusackiの持ち味はこういう音とは違うのだけど、でも、こういう展開でも気にすることなく、ギターを掻き鳴らす。この後、終始そうなのだけど、Kabusackiは凄く多彩。弾くというそれと、音色と、どちらも、それを感じた。この展開からベースのミトが加わる。この人も名前を見かけた事があるだけ。すると、イトケンとトクマルシューゴは退席して、Kabusackiとミトのデュオ状態。ここでミトは、あまり変わったことはせず、というか、むしろシンプルなフレーズを繰り返す。このシンプルは、いい感じのグルーヴで、ここでKabusackiのギターの方便が上手く伝わる。派手な音を使わないKabusackiの音は、こういう展開で、より、映える。シンプルな音数だけど、気持ちの良い音が続く中、ドラムのOLAibiと、なんか色々扱うオオルタイチが加わり、ミトが退席。OLAibi大友良英のセッションと、Alaya Vijanaの演奏を1度見ていて、パーカッションがベースにあるセンスが楽しかった。オオルタイチは、ウリチパン郡の2ndを持っている。けど、あんまり聴いてない・・・。まあ、とにかくそんな2人とKabusackiのセッション。ここまでは面子毎で音楽展開していたけれど、この3者はその中で3つぐらい、ハッキリと音楽が変わる。序盤、OLAibiは多分親指ピアノだったと思うのだけど、その音は、今夜の大きめな音にあわせてあってエコー気味に聴こえて、これがもう少しだけ大人しめの音だったら、親指ピアノの音の気持ちよさがもっと感じ取れるんじゃないかなあって思ったけど、ま、それは仕方が無い。けど、そういう音を持ち込んだ辺りから察することが出来ると思うけど、アルゼンチン人としてのKabusackiの顔が出てくる。そこにエレクトリニクスな音のオオルタイチが絡み、なんか、ちょっとヘンテコな、けど、こういう感じで絡まるのも面白いなあって思った。
2ndは全員揃い踏み。で、このセットの日本勢はあまりKabusackiを意識せず、多分共演歴があるんだろうなって思わせるような、纏まったアゲアゲな展開。セットの中盤過ぎまでその感じで、1stは繊細もあったOLAibiはガツガツしていて、そのかわりイトケンの方が冷静に音を当て嵌めていたように思う。ミトのベースも1stよりも感情的だったけど、序盤はジャズなベースかましたりもしていて、ちょっと、このベーシスト、面白いかもなあって思った。オオルタイチは、多分、ほぼ、この人が即興する時ってのはこういう演奏なんだろうなって思うような感じで、でもその代わりか、トクマルシューゴが何をやっているのかは、あまりわからなかった。ガッツリと演奏が見えるわけではないので、上がっていくサマをなんとなく聴いていながら、そういえばKabusackiの音はどれ?って思い、なんとかその動きを目で追うと、あ、この音はKabusackiの音か!って音がそのギターから発せられていることに気付く。そして終盤に差し掛かると、アゲアゲな展開は収まり、音数を減らした状態。6人の音がそれぞれに注意をはらっているのが、それまでよりも濃くなる。ある意味、ここでやっと緊張感のある展開になる。言いたい事が朴訥とするこの感じ、全体がシャイになるとでもいうか、この空気が実は一番面白かったりする。
もちろんアンコールもあって、ミトが「5分以内を目指します!」と言っていたけど、多分、5分は過ぎてたよな。
個性丸出しのアヴァンなものを中心に聴いていると、Kabusackiのギターには一見、らしさってものが見つけにくい。けど、多分、そういうギターとKabusackiのやろうとしていることは違うのだと思う。本来の意味で、Kabusackiのギターは多彩。1つでやり通すとか、自分のやりたい事だけをやるというのとは、全く違う。自分の冠のライブでも、自分の為の演奏を求めている雰囲気は無くて、全体のやることに余裕を持ってニコニコと音をあてはめる。しながら、派手では無いのにその音はいつの間にか浮かんできて、卓越した音の並びを聴かせる。んー、このギターは凄い。ヒステリックに上がっていくギターよりも、色んなものを含みつつ一見穏やかなフリをしたこのギターの方が後を引く。