OSLO-TOKYO CONNECTION 初日

Paal Nilssen-LoveとLasse Marhaugがセットで来日。この2人ってのも、なんか「へえ」って思ったのだけど、よく考えたら共演盤のリリースがある。スーパーデラックスでこの2人+日本国内のミュージシャンのセッションが2夜連続。今夜が初日。
1stはサックス&クラリネット坂田明、17弦と20弦箏の八木美知依、そしてドラムがPNL。このトリオは昨年アケタの店でぶっ放してくれたけれど、あの小さなハコだからの音の圧力はSDLXではちょっと難しいかと思っていた。けど、全く問題なし。初っ端から飛ばしまくるフリージャズ。ガチンコ。もういい加減に飽きたと言ってみたいPNLの半端ない叩き。無理でした。いつ聴いても結局ヤバイよなあって思う。個人的にはPNLはピットインでの音が印象が強かったのだけど、今夜のSDLXの縦型のセッティングが音の抜けが良かったのか、あの迫力の上手く伝わっていた。
PNLとは結構演奏機会の多い八木さん。セッションって、どちらかと言えばそうじゃない方が刺激になる気がするのだけど、八木さんやPNLあたりになると、いくらかお互いの手の内を知っているはずなのに、いつも刺激されあっているようにSなぶつかり。もちろん、只管ヒステリックに進まずに音数の少ない展開も挟むのだけど、そういう陰影が進むという感じを意識させる。八木さんの17弦でのエフェクトは箏とは関係の無い音で、それの有る無しで大きく何かが変わるとは思えないけど、全体ではわずかにしか出てこないその音の一瞬のインパクトはなかなか強い。
アルトをブリブリとさせる坂田さん。完全にS体質な2人から見ればエンタメな部分も持っていて、そこは余裕の成せる技とも思う。何十年もずっと、サックスとクラリネットを吹き続けている。その小柄から吹き出る音はいつ聴いても新鮮。更にあのパンクなヴォーカリゼーションも飛び出す。その内、あのヴォーカルがメインのパンクなバンドを作ってくれないだろうか?
2ndは秋田昌美とLasse Marhaug。秋田の演奏は何回か聴いたけど、どれもラップトップがメインの演奏で、Merzbowのイメージとは少し異なっていたのだけど、今夜は遠めにはハッキリわからなかったけど、ラップトップとは違う機材が卓上。MarhaugはPumaとの演奏を聴いていて、その時の演奏は正直あまり楽しめなかったのだけど、今夜のこの2人は終始デカイ音で強烈なノイズ。音楽的な陰影を拾うことは難しく、まあ、そうやって聴くようなものでもないのだけど、だけどこの一本調子でセットが貫かれるのを体験すると、一見暴力的な音像だけど、肉体的なそういうものとは違うと思った。常に振り切れているのは秋田で、どちらかと言えばMaurhaugはベースラインを持ち込む場面もあって、器楽的な演奏の雰囲気もあったのだけど、あえて拾えばそうなるだけで、ひっくるめて感想すれば、音圧に圧倒された、という事。
3rdはPNLとMarhaugに加えて姫野さやか。面子を見たとき、姫野さやかって誰?って思ったのだけど、なんとにせんねんもんだいのドラム。あのバンドのドラムがPNLとぶつかるのか?って思って、ミスキャストじゃねーか?、と、思っていた。けど違う。1回にせんねんもんだいを見ただけで姫野というドラマーを知っているつもりをしてはいけなかった。この子は頭を回しながら手数の多い、気持ちの入った演奏をする。ちょっとビックリ。が、見た目の音と実際に響いてくる音の数がイマイチあわないなあって思っていて、ちょっとPAミスって無いか?って思っていたら、某氏がSDLXの卓担当になにやら耳打ちしていて、その後姫野の音が入ってくるようになったので、恐らくその事だったのだと思う。PNLはもちろん余裕かますわけなく、がっつりと向き合いつつ、だけど少しコントロールしている雰囲気もあって、ただのぶつかり合いとは違った様相。お互いが活きるように、という感じ。この2つのドラムをバックにMarhaugは音量で対抗せず、状況的な音だったと思うのだけど、あまり見る事が無い楽器構成にも拘らず、演奏がちゃんと収束したのはMarhaugの主導かもしれない。