羽野昌二 スペシャル・ナイト

考えてみたらピットイン夜の部に足向けは今夜が今年初。だからどうってこともないのだけど。とりあえず面子のコピペ。
羽野昌二(Ds)古谷のぶやす(Ts)松井アミ(Vo)中村 大(el-B)安藤アキラ(B)
日本のフリー系なドラムとして著名な羽野。けど、不思議とライブを見る回数は少なく、今夜で3度目。最初は数年前にピットインで見たBilly Bangとのセッションで、次は2年半前のクラシックスでのPeter Brotzmannとのライブ。どちらも羽野の独特な音は結構インパクトがあった。
とはいいつつ、今夜の目的は古谷のぶやす。こう書いていると誰?って思ってしまうので、古谷暢康と書き足す。昨年リリースされた『Stunde Null』がちょっと話題になった人。その『Stunde Null』はさっさと手にしていたけど、とりあえず1曲目だけ聴いて、もう1曲はその内と思っていて忘れていた。現在の拠点のポルトガルから来日、というか一時帰国、か。とにかくそれを知り、慌ててもう1曲も聴いて、この機会を逃す手は無いと思ったので今夜。
まずは羽野安藤古谷トリオ。安藤というベーシストの拠点はドイツらしく、こちらも一時帰国状態。その安藤と羽野の作るリズムが音粒の多い展開。まくし立てるように、というか、忙しない感すらある。それに煽られるテナーを手にした古谷は、けど、それとは違う音数。堂々と吹き進む風ではなく、選びながら入れ込んでいるように見えた。しっかしフリージャズだなあ、と、思う。ドラム&ベースにワンホーンでフリージャズって、まあ、あるのだけど、でも、ちょっと久々感。このスタイルでブリブリされると、なんかニヤニヤする。一応その3人での演奏が終わった風になり、安藤のアコベがソロ状態。なんとここで羽野がMCというか、ヴォイスの松井を呼び込んで演奏。更にそこから松井のソロ状態で同じく羽野がエレベの中村を呼び込む。この間に古谷は持ち手がクラリネットやフルートに変わり、多分最初に手にしたクラリネットはE♭だと思うのだけど、この音が鮮烈で、篳篥並みに切り込んでくる。更にフルートはRoland Kirkを思わせるヴォイス入りのあれ。
演奏が中盤を過ぎた頃だったか、なんか客席からステージに向かって歩いていく怪しい男。「何?、ヤバイ状態?」と思ったけどこれは演出で、この男がステージ上でパフォーマンス。最初はウロウロだったけど、徐々に色々大きくなってくる。すると自然と目はそっちに向く。音は入ってきても、目が追うものの印象ってのは強くて、ぶっちゃけ、この辺から演奏の内容はあまり覚えていない。
2ndは羽野安藤古谷松井カルテット状態。松井のヴォイスは飛び道具なのだけど、それが古谷のクラリネットと共鳴したりする部分が印象的。そうこうしていると、またあのパフォーマーがステージ上に現れ、遅れてエレベも加わる。ここからはまたしても、あのパフォーマーの動きを目が追ってしまう・・・。それを見つつ、こうやってステージでパフォーマンスの人(確かダンサーの工藤、って紹介してたと思う)が出てくると、音楽の動きは不思議とそれに合わせたかのように変わるなあ、って思う。まあ、それが狙いなのだろうと思う。が、そのパフォーマーがステージを降りると演奏は混沌と激しくなり、恍惚する時間が続いた。
羽野のドラムはかなり個性的。左手のスティックの持ち方という見た目だけじゃなくて、ドムドムしたあの音と、かなりの手数が尽きない。全然引かないんだよなあ。押しっぱなし。手探ってみたりしているんだろうけど、そういうのが見つけにくい。しかも時々、ドキッとするようなデカいバスドラの音。
物販利用。売り子いないなあって思っていたら、羽野さんが対応してくれた。それにも拘らず、購入したのは古谷の『Bendowa』と『Bendowa』のアウトテイクのCD-R。手に入りにくいものを優先してしまった・・・。すみません・・・。