Parabolica Jam 10

待ちに待った日。今日もiPodで『hyphenated-man』を2回再生済み。開演予定は18:30ということで、それに間に合うように仕事もろくにせずにクアトロ。勿論渋谷。
事前にブログなんかでこのツアーの様子を調べてみたのだけど、イマイチよくわからなくて、しかもトリがMike Wattと固定されている風でもなく、なので万が一最初にMike Wattだったらという変な焦りもあったけど、一番手はLite。このバンドは2年半ほど前にSDLXでBrother's Sister's Daughterのライブ時に少し聴いている。その時はBattlesを思い出す音楽だったのだけど、今夜もやっぱそれ。マスロックって言えばいい?、まあとにかくそれで、あの辺りの音が無ければ生まれていないバンド。とか書くとなんか否定的か? が、違う。初っ端から嵌った。Battlesを少し加速したようなロックが、見た目あまりにもその辺の普通の若い連中みたいなのが、かます。2つのギターはミニマルに鋭くフレーズを奏で、ベースは重低音でグルーヴ、そしてドラムががっつり少し派手にビート。揺れる、マジで揺れた。このバンドの演奏だけでもOKだなあ、と、思った。
続いてAdebisi Shank。予備知識は写真の姿だけ。なんか、何やるのか全く想像出来なかったけど、こいつらもマスロック的で、でもLiteとは違ってドコアを混ぜ込んでいる。ギター、ベース、ドラムという3ピースは、ギターとベースの動きも派手で、ベースはなんかテロリストみたいな覆面風でかなり危ないのだけど、こいつらも文句なしにカッコいい。おかげで2セット連続で体揺れまくり。セットが終わってタバコしてビール飲むと、いつもより少しまわるのが早い気がして、まあ、それはいい感じ。
3rdはどっち?と思ったら、Lou Barlow。バックはThe Missingmen。恐らく、ネームバリュー的には今夜の面子ではBarlowが最も高いはずなのでBarlowがトリの可能性が高いと思っていたのだけど、この順番。Dinosaur Jrは当然ながら、90年代にはSebadohやFolk Implosionもよく聴いていた。再結成されてからのDinosaur JrをAXで見て、それ以来のBarlow。ソロ名義の作品は聴いてないのでどんななのか知らなかったけど、滋味深いアメリカーなロック。ここまでの2つのセットが飛ばしまくってくれたので、余計に沁みたかもしれない。でもこの余裕のあるロックを聴きながら、元々USのアングラなロックバンドのメンバーとして音楽しながら、それがオルタナとかグランジとかのタームで注目されて大きな知名度を得ていく中にこの人は居たんだなあ、とか考えた。序盤は中盤を過ぎるまではギターを弾き、ベースに持ち替え。そしてMissingmenの2人が退場してギター1本で弾語り。このアメリカーなロックは、歌モノの強さが前面。全面。
そしてMike Watt and the Missingmen。勿論、『hyphenated-man』の再現。30曲のこのアルバム、2:04の曲が2曲で、残りは1分台。これが連続して演奏されていく。ここ2週間ほど耳タコな『hyphenated-man』が目の前。ドラムのRaul MoralesとギターのTom Watson、そして勿論ベースでヴォーカルのMike Wattが完全に再生する。録音物を聴いている分には当たり前の事だけど、でもこれがライブで目の前で演奏されていくのを目の当りにすると、演奏力の凄さがわかる。しつこいけど、47分で30曲のアルバムをライブで再現している。これ、かなりの演奏力がなければこなせないだろ? とか、振り返っている今はそんなこと思えるけど、目の前にしている時はそんな事よりもとにかく音に埋もれる。揺れるというより、久々に体が勝手に跳ねる。
アンコールは今夜の全員揃い踏み。グダグダになりそうでならない。至福だった。なんていうか、努めて平静にログにしているつもりなのだけど、ハッキリ言って今夜は徹頭徹尾、面白いライブだった。4つのバンドの演奏なんて、まず、それなりがまぎれているもんだけど、今夜は徹頭徹尾。
今夜は22日連続公演の19日目だとか。この後は北海道で3つらしい。Liteの人がMCで出演順は日によって異なっていると言っていて、それはMike Wattの発案らしく、そのWattの事を熱く語りたいけどなんていっていいかわからない風で、でも、気持ちが伝わるMCだった。そのWatt。本編終了時に一旦はける時に気付いたのだけど、足の状態が悪いようで、アンプに寄りかかりながら歩いていた・・・。これが一時的な状態なのかそれとも慢性的なのか知らないけれど、そんな状態で、当たり前の様に立ったままで演奏していた。尊敬という言葉はこの人に使いたい。
帰りに物販利用。まずは会場限定という事になっているLou BarlowのCDと、Adebisi ShankのCDを1枚。Liteも何か1枚と思ったけど、人が集まりだしたので選ぶのを諦め。それで、肝心のMike Wattは『hyphenated-man』しかCDが無く、それは持っているので、でも何かWattのものをと思い、普段はCD以外のものを買うことは無いけど、Terry Riley以来の缶バッジを購入。