Sten Sandell in JAPAN

スーパーデラックスでは坂田明trio、更に新作に嵌ってしまったCombopianoのレコ発もあるのが今日。なので凄い、悩んだ。なんでこんな重なる?、と。結果、クラシックス
1stがSten Sandellのピアノ独奏。2年半前の来日時にSandellのソロCDを買っていて、そこではユーモアを伴って簡潔にトラックが並んでいた。今夜の演奏はそれを思い出す。浮かんだものを演奏し、次はそれの余韻を使ったりそうしなかったり。展開させる事に捕らわれていない。ジャズ的な何かよりもクラシックを思わせる部分が多く、現代音楽のそれじゃなくて、もっと古典的なところをフリーにしたような印象。フリーインプロ的な小難しさも殆ど無く、何かのジャンルにあてはまらず、大きく小さく、ピアノの音というのはこういう音と言っているように聴こえた。このまま次のセットもSandellの演奏でいいんじゃないの?、って思ってしまった。
が、そうはいかず2nd。PNL&Johan Berthling+早坂紗知さんと八木美知依さん。面子から想像出来るように、1stセットと全く異なったフリーなジャズ。この面子だと、早坂さんが藤井郷子さんのオケでの演奏しか聴いてないので、あまりその個性を知らないのだけど、アルトとソプラノの2つのサックスを使い分ける早坂さんの音の線は太い。太く鋭く切り込む。フレーズの節々にOrnetteを思わせて、それをDolphyのスピード感でこなしている感じ。藤井オケでは短いソロの場で一閃を放つという感じだけど、長尺に音を出す今夜もイマジネーションが持続していて、存在感のごり押しをされた。
こういう場では、ハイパー箏奏者というよりフリージャズ奏者にしか見えなくなる八木さん。ここ最近見た八木さんの演奏の中でも、今夜は遠慮なくぶつかっていく感じがして、S顔が強い。特に20弦で聴かせるアグレッシヴはこの面子でも強烈度が高く、更に勝手知ったるPNLとのデュオ状態では剥き出し感が強い。それなりに八木さんのライブを聴いてきたけど、以前と比べても明らかにスピード感が上がっている。今夜は印象は薄かったけど、本来はここに更に17弦でのグルーヴがある。向かうところ向かいっぱなしって感じ。あ、もう1つ付け加えると、今夜は今回のSST日本ツアーTシャツ着てました。
今夜の司会進行役のじゃずじゃ氏のつぶやきにあったように、大和撫子は残念ながら、いや、嬉しい事にアマゾネスだった。その厄介な女性陣を収めるのはやっぱり予想通りBerthlingのベース。個人的に、実はアコベの音はピットインよりもクラシックスの方が気に入っている。ピットインではジャジー感が強く、まあ、それは当たり前の事なのだけど、クラシックスではもっと素の音に鳴っている気がして、なんとなく、この方がアコベの自由度を感じる。Berthlingは個性的な強烈なフリーのベースに比べれば万遍無い奏者で、だけど日曜のトリオの時と同じ様にアルコが独特のトーン。そして、この人は音の抜き差しのタイミング。演奏に加わるタイミングとか、完全に消え去るところとか、そこのバランスにしてやられた。
PNLは、、、もう、何か書くの飽きてきた。んー、いや、でも、最初にこの人の凄さを思い知った数年前のピットインでの絶え間ない強いビートのインパクトを思い出せば、その強みは相変わらずも、それだけで鼓舞しないやり方も増えてきたと思う。要するに多彩になった。だけど小技という意味じゃなくて、なんて言うのか、、、まあ、とにかくライブで実感するしかない。
2ndは2つの演奏。若しくは、1つの演奏にアンコール対応の演奏が1つ加わった。ここでゲスト。テナーサックスの竹内直。じゃずじゃ氏のNY滞在時期の知人らしい。竹内の名前は知っていたけど、意図してないところで音が聴けるとは・・・。その竹内は無骨にフリーキー。早坂さんとの対比もはまるし、ゴリゴリしてるのに妙に派手な感じもあって面白かった。
こんなに様相の違うセットが聴ける面白さはそうそう無い。東京という場所はやはり得してると思う。この後、トリオは西側で演奏。このトリオは、ジャジーとか単にフリージャズとかって括れないハードな面白さがあるので、それに圧倒される人達多数を予想。
SSTの時はチェックもしなかった物販を利用。一応Sten Sandellの名前でのツアーなのでそのCDを手にするのが礼儀だけど、並んでいるものは既に手にしているものが多く、で、PNL絡みのCDが魅力的で、その中でもディスコグラフィー上でリリースされているのは知っていた独奏集がPNLのレーベルから再発されていて、更に2008年録音の独奏集、そして密かに気に入っているAnders Hanaというギタリストとのデュオ作(これも再発らしい)と、よく知らないけどFrode Gjerstadとのデュオ作も気になり、4枚お買い上げ・・・。国内でも最も高額な紙幣1枚だけしかなかったので4枚で我慢。もちろんお釣りの出る金額だけど、そのお釣りと小銭でもう1枚CD買えるけど、そうしたら今夜の宅飲みのビールが買えなくなる。それはまずいだろ。なのでTシャツは買いませんでした、すみません。