Eminem

引退というポーズの後の復帰作だった『Relapse』は、なんとなくイヤな予感がしてとりあえずNapsterでチェック。で、やはりこれは要らんという判断になって、まあ、こういうもん、と、これで今後はEmを気になる事は無いな、と、興味が減るのは助かるのでそれで良かった。
新作『Recovery』リリースの報も、別に気にならなかった。けど、実際にそれが店頭に並んで、ジャケットを見ると妙に引かれて、まあ、つまらなくてもいいかという気持ちでレジに持って行った。手に入れてもうすでに3ヶ月以上経ったか。今のところこの『Recovery』が、今年もっとも繰り返したヒップホップ。Em特有の、つっぱらかったイメージのクセに妙にメランコリックなものが並ぶ。クレジットを確認するまでは全編同じプロデューサーなのかと思ったけど、実際は多様。同じ色になったのはEmのラップによるものというよりトラックの選択か、或いは、トラックを用意した連中がEmに似合う事を意図したと憶測。R&Bというか、ブラック・コンテンポラリーのメロウを上手く取り入れている。ロックは全く無い。突飛も無いので、気に障る言い方をすればヒップホップ的には保守的でもある。でも、このトラックとEmの高くて固い声のラップの混じりは嵌り。Emの声は少しだけ憂いみたいなものを持っていて、それがどのトラックも無視させない魅力。がなったり、早口になるほどそれが増す雰囲気すらある。


Eminem 『Recovery』