very “Q”show 〜お馴染みでもはじめまして〜

先週の金曜、ライブが終わって帰るとき、当然物販のとこを通る。出演者のCDがガーッと並ぶ中、石橋英子のライブのチケットが売っていた。しかもクアトロでのライブ。おお、石橋英子もクアトロでライブやる域に来たのか、とちょっと驚いて日付を確認。10/4と書いてる。んー、何かこの日、なにか見る予定があったような気がして、とりあえずチケットは買わなかった。部屋に戻ってチェック。あ、そうか。この日はリキッドルームManu Chaoのライブを見る予定の日。チケットは手に入らなかったけど・・・。Manuの来日の報はチケット販売前から知ってた。だけどどうせ当日券も出るような売れ行きになるだろうと高をくくっていた。大間違い。念のため、チケット販売開始日の翌日にぴあのオンラインでチェック。売り切れ・・・。他のチケット販売も軒並み売り切れ。またしても頭を抱えた。が、すぐに思いなおして、そこからヤフオクのチェック。確か元々は¥6,000。オレの許容範囲として¥8,000に設定。何枚か上がってきたチケットをウォッチしたけど、どれも¥8,000を超えていく・・・。ある時期まで来て思いなおし、¥10,000まではOKと思ったけどここから更に上がる・・・。最後ら辺は元値の3倍ぐらいになり、馬鹿馬鹿しくて入札しなかった。しっかしさ、ホントにこんなにManu Chaoを聴いてるやつらがいるのか? それなら国内盤が出てもいい気がするんだけど。あーっ!!、マジむかつく。
という事で今夜はまたしてもクアトロ。当然当日券。¥3,500。+ドリンクチケット¥500。まあいい。なんてったって、石橋英子の脇を固めるのはJim O'Rourkeと山本達久。Phewの時にも出ていた面子ってのもなんかいいだろ。
今夜は石橋英子の2セットではなく、蔡忠浩という人とセットを分ける設定。その人の事は全く知らないのだけど、名前の並び順的に蔡忠浩が1stで石橋英子が2ndと思って、今夜の開演予定時刻の19:30ぐらいに到着して、とりあえずタバコを吹かして中に入る。まだ始まってない。しっかし人が居ない・・・。居るのも、なんか妙に若い子が多い・・・。それも女の子・・・。それも、今時の普通な感じの子ばかり・・・。これは、、、って思いながら1stの開始を待つ。するとピアノの前に誰かが座る。遠目に見ていたけど女性だって事はわかる。ってことは石橋英子のセットが先か、と、気付く。まずはそのまま、石橋英子がピアノで弾語り。しかも長いイントロはピアノソロ状態。そういう曲なのか?って思っていたら、歌声が出てくる。あの、こういってしまうとあれかも知らんけど、あの、矢野顕子に似たあの歌声。しかもピアノに向かっているので、より、その感触は強まる。しかしど頭にこういう演奏を持ってくるなんて、Phewが「Love Me Tender」で始めたのも凄かったけど、こっちの静寂度は更に半端ない。遠目にそれを聴いていたら、そんな演奏の途中にドタドタ客が入ってくる。まあ仕方が無い。この人達も悪気があってやってるわけじゃない。と、思っていると、それでも余裕があるのにオレの目の前に野郎2人組みが・・・。んー、とか思っていると曲が終わる。丁度良いと思い、カウンターに行ってビールを買う。そこからステージを見ると石橋英子は見事に柱に隠れる。元の場所に戻ってオレの前に来た2人組みの前に立ってやろうかと思っていると、O'Rourkeと山本が入ってくる。しかもO'Rourke、ちょっとピアノの陰な位置。ならばと、フロアに降りて、余裕で隙間をついて前方。普段はこうやって前方に行く事は少ないけど、このセットはそうさせてもらった。山本は当然ドラムセットの前に座り、O'Rourkeはギターを手にしている。ここからアヴァンなインプロセッション!!、、、では無く、あくまでも石橋英子の歌とその伴奏。いや、O'Rourkeと山本は伴奏という感じでもなく、ところどころ、ブレイクの様に入ってくる。音楽の中心だけじゃなく、音の中心すらもあくまでも石橋英子。それをとんでもなくヤバいギタリストと、かなり危険なドラマーがサポート。恐らく今夜の客の殆どはO'Rourkeや山本の普段の演奏を知らない。この2人の名前すらろくに知らないかもしれない。なのでこの子たちはすんなりこの音楽を聴いている。オレの様な経験で聴いているやつの方が余計な事を考えているかもしれない。と、思い、素直に石橋英子の歌声を追う。すると、聴き覚えのある曲がいくつか出てくる。という事は多分『Drifting Devil』の収録曲(帰ってきて再生して確認済)。それに新曲が挟まる。才女という言葉で表現される石橋英子。まさにそれ、あてはまる。よくよく考えてみたら、オレがこの人の演奏をライブで聴いたのは昨年の芳垣安洋とのセッション(クラシックスで1セットのセッション)。その次が先週金曜のPhewのバックアップ。その間に石橋英子のCDを聴き、『MABOROSHI』(こっちは今夜のライブの様な歌モノとは違い、ミニマルもある演奏主体 / 強烈な傑作)に至っては昨年のベストの1枚。だけどライブを見る縁が無かった。そりゃ、今でもManuのライブに行けなかった事は悔やむ。だけど、だからってこのライブはそれとは別物。このライブを聴けた事は穴埋めじゃなくなった。
ちなみに、O'Rourkeは2曲目からはベースに持ち替え。時折ディストーションでギターな音も出したけど、それでもやっぱりブレイク。そして時折、薄く、日本語でコーラス。山本はPhewの時よりもストイックな叩き。なんか凄い贅沢感。
最後の曲でO'Rourkeはギターに戻り、終盤、らしくないぐらいに美しく響かせる。最近知ったばかりのJesus Feverを思う。そこで山本はバスドラも兼ねたタムを叩き続け、石橋英子は同じコードを発し続けていた。
元々ドラマーとして名前を覚えた石橋英子。今のところ、彼女のピアノと歌声しか聴いてないけど、どんなドラムを叩くのか?という興味は強い。でも、シンガーソングライターとしての資質は、CDを聴いていた時にも感じるものがあったし、今夜の歌声で、ああいう音数の中で歌声を響かせることが出来るという事が確認出来て、そこのところがもしかしてこの人の根っこのところなのか?とか、思う。まあとにかく、こういう位置取りの演奏家が居る事が面白い。
セットが終わる。この後は蔡忠浩という人のセットなのだろう。周りを見回す。ここからは、この子たちのお楽しみの時間。じゃあオレは、、、帰ろう。多分今夜一番最初に帰った客。もぎりの子が「出たら入れないけど?」という顔をしてたけど、たまにはこういうのも有りだろ。
と、渋谷クアトロを離れて帰ってきた。すると心斎橋クアトロが1年後に閉店というニュース。なんかな。