「5 Finger Discount」発売記念ライブ

あー、もう今日で朝の高島彩を見る事が出来ないのか!!と、朝っぱらから半泣き。朝起きてTVをつけるとこの人が出ているというのは、オレの人生では重要だった。次の子はちょっと違うんだよなあ。
多分19:00ピッタリぐらいにクアトロ着。すぐには始まらないはずなので、慌てずまずは一服。値が上がった日だからこそ、ここは躊躇せずに一服。で、中に。すると既に暗い。ステージを見ると七尾旅人のみが座っている。フィーチャリングだと思ってたのに七尾は前座だったか・・・。ここでBushman's Revengeの2ndも厳しい事を思う。
1年ほど前にスーパーデラックスでフィーチャーされる形を見て以来、久々の七尾。ソロが多分この人の本来。どんなか?と思ってたら、現代版アシッド・フォークといった趣。アコギと歌をメインに、エフェクトの類を上手く使って組み立てる。序盤はその音数の少なさからこれを立ち見は辛いと思った。だけど、徐々にそれにも慣れる。そしてドリンク・チケットで手にしたビールはさっさと無くなり、右側にいたオレは曲間を狙ってカウンターの方に向かう。が、入ってきた時とは違ってかなりの混み具合。なんとかビールをゲットしたものの、元の位置に戻る度胸も無く、そのままカウンター付近で鑑賞・・・。座ったままアコギを抱えて色々喋りつつ演奏する七尾の姿は、見たことは無いけどなんとなく70年代のフォークなんかに近い気がして、だけどサンプラーで声を回したり色々する音は今時で、この変なバランスがなかなか飽きさせない。という状態が終わって時間をチェック。20:00を過ぎていた・・・。ここでBushman's Revengeは諦めた。また来日してくれ。つーか、今夜は火曜の様な悲惨な客入りじゃないことを、部外者のオレが勝手に祈る。
休憩時間に即ビールを買ってタバコをかましに行き、早めに戻って再びビールを購入して右側に移動。その途中、よく行っているライブハウスでよく見る顔をいくつか見る。クアトロでそういう人達を見るのは不思議な気分。でも今夜のPhewのバンドの面子を考えたらそうでもないのか。という事で面子のコピペ。
Phew with 石橋英子(p)、ジム・オルーク(b,syn)、向島ゆり子(vl)、山本精一(g)、山本達久(drs)、山本久土(g)
右側から見たので、向島さんとドラムは全く見えない。でもいい。このバンドのメインは当然Phewで、その傍らで山本がギターを弾いている構図が1番見たい形。
Five Finger Discount』は、とにかくあっという間に嵌った。だけどオレはPhew名義の作品をそんなに繰り返してこなかった。どちらかと言えば嵌ったのはMostの方で、それまではPhew名義だけじゃなく、Aunt Sallyも特に気に入る状態にはなってない。でも、あのPhewという事で、とにかく無視は出来なかった。そして『Five Finger Discount』でいきなりだった。皮肉にも、カバーアルバムというこのアルバムで、Phewの独特がすんなり聴き取れるようになった。それ以前、オレがPhew名義で気に入っていたのは、坂本龍一がプロデュースした「終曲」だったりする。そして『Five Finger Discount』では教授の「Thatness and Thereness」を歌っている。
ライブの序盤は複雑な心境。初っ端の「Love Me Tender」の頭でPhewのマイクがオフになってたし、それよりなにより、アルバムと特に違わない演奏が紡がれているのを聴いて、先月やたらと決定していない音楽ばかりだったので、知っている事を目の前でやられる事に引き込まれなかった。やっぱSDLXに行くべきだったような、そういう弱気になりつつ。そういう事を考えていたので、いつの間にか目を閉じていた。そしてうーん、とか思っていると、不思議と歌が入り込む。昨年、ピットインで大友良英のライブで初めてPhewの歌う姿を見た。その時とは異なり毒のある言葉も発さず、ベレー帽の様に斜めに帽子をのせた姿を視界から外した事で、あの独特な歌い方が持つリズム感が、静寂な演奏と絡まっているところが聴こえてきた。そう感じたところで目を開くと、そこからは余計を考えず、ただ素直にその歌声を追っていられた。
アンコールが2回。その2回目はPhewと山本のデュオ。「Candy Says」と「見上げてごらん夜の星を」。その演奏を聴きながら、こう言ってしまうとなんなのだけど、やっぱりこの2人の関係が今夜の意味だったと思った。