John Butcher / 中村としまる / Eddie Prevost / Jim O'Rourke / 秋山徹次

今月のライブ鑑賞は結構満腹感があって、来月までは今月リリースされた濃すぎるCDを聴いて過ごす予定だった。のだけど、ネット上で色々見ているうちに、今夜Uplink FactoryでJohn Butcherのライブが見れる事に気付く。妙に東京でのライブが少ないツアーだよなあって思っていたのだけど、これを見落としていた・・・。今夜は勿論Eddie Prevostも。多分今回のツアーでベストな環境は26日に予定されている大谷石地下採掘場跡だと思うのだけど、これはちょっと無理。だけどウチから徒歩15分の場所なら、無理は無い。だけど今日は土砂降り気味な雨。辿り着くと結構無理した気分。
しっかし久しぶりなアップリンク。前にここに来たのは、このブログの最初のログ、Filamentのライブだった。あれを見て、軽くログを書いてみようと思い立った。このブログのスタートはこの場所だったりする。しっかし、5年か・・・。5歳の子がティーンエイジャーになれる時間。その10歳の子にとっては人生の半分の時間。オレにとっては・・・。
1stはJohn Butcherと中村としまるのデュオ。中村のノー・インプット・ミキシング・ボードから発せられるノイズは、元々その名を知るキッカケが小さな音での演奏だったのでそういうイメージが強いのだけど、実際は禁欲的にそこに縛られている風でもなく、緊張感だけを引き出すわけじゃない。今夜も小さめに始まりながらも、かなり強めの音を時折発している。そこにのるButcherのサックスは、独奏の時の様なスピード感は抑えつつも、やはり音色の多彩さが耳に残る。Butcherはキーをカタカタさせるだけで、その音がまるで小型マイクが付いているように大きな音になったり、さらにフィードバック音まで出ているような気がしたのだけど、あれはいったいどうなっているのだろう? まあとにかく、このデュオの音色の臨場感は特別だった。
2ndはEddie PrevostとJim O'Rourkeと秋山徹次のトリオ。PrevostといえばAMMのパーカッション奏者。というか、事実上、AMMとはPrevostの事だと思う。そのPrevostは、大太鼓と小太鼓とドラに、小物をいくつか。それらをとにかく弓で擦る。擦る。擦る。叩くという事が殆ど無い。只管弓で擦る。その姿を見ながら、この人は何十年もずっとこうやってきて、これからもずっとこれなんだろうと思うと、その揺るぎなさに感銘を受ける。マジで。O'Rourkeはテーブル上になにやらというパターンで、だけどオレの視界からは微妙に何があるのかわからず、だけど小さくノイズを発し続けていて、実はこの音が見る側にとってはこのトリオの音の緊張感を解し、だけどストイックに発し続ける音は他の2人の演奏者には展開を先読みさせない雰囲気があった。今夜はアコギを手にした秋山はプリペアドに音を鳴らす場面と、単音の1音を印象強く発する。ホント、秋山というギタリストは、音のセンスが頭1つ抜けていると思う。エレキでもアコギでも、いくつの音を置いていくのか、そういう弾き方をしているように聴こえる。
3rdとして全員揃い踏み。このセットの面白さは、5人が揃うことで方向の不確定が強くなった事。この前の2つのセットも、行き所はハッキリしない演奏だったと思うのだけど、5人になる事でそれは余計に強くなった。多少は気にしながらも、あまり読みあうという事を考えている風でもない。ここでちょっと気になったのでO'Rourkeのテーブル上を見えるように頭をずらすと、Keith Roweを模したかのようにテーブルトップ・ギター状態。なるほど、そういう事か。さすがとしか言え無い。