広瀬淳二

3daysだった某フェスには1度も足を運ばず。そういえば今年はせんがわも行かなかった。ライブに行くのって、無理をしたり、自分の行動範囲をはずしたりすると結局疲れる気がする。なのでオレはほぼ、自分の足の向けやすいところにしか行かない。無理をするのは海外のミュージシャン来日時と決めていて、それはその次がわからないから。dzumiはオレの行動範囲外だけど、どうしてもJohn Butcherは見たかったので、平日だけど頑張った。けどその甲斐ありまくりで、今でもButcherの音が頭の中でグルグルしている。当然物販で購入したCDも再生。そのButcherのライブの時、頭をよぎったのは阿部薫。サックスの独奏と言えばそれに直結。もちろん阿部の残した録音物しか知らないのだけど、フリージャズを知ったばかりの当時のオレには十分すぎる、強烈な音だった。その『Last Date』は、後年再発(及び発掘)される作品に比べて、阿部の最晩年に位置するこのアルバムは評判が良くないらしいのだけど、ここで音が鳴らない時間も音楽だと気づくのは容易かった。近年、無音を音楽に取り入れているものは多々あるけれど、どれもこれも『Last Date』ほどのインパクトは無い。
とか、わかったようなことを考えつつ、久々に阿部の『彗星パルティータ』を聴いていたら、amazonからCDが届く。広瀬淳二の新作『the elements』。今日、冒頭に書いたフェスで演奏をしているはず。それに行かずにCDを聴くなんてなんか皮肉な気がするけれど、それも一興。
『彗星パルティータ』を聴いていて思っていたのは、阿部の特殊奏法は、何かから学んだというよりも、自らサックスをこねくり回すうちに身に付いたものなんじゃないだろうか?、という事。時折そういう、特殊な奏法による音が混じりこみつつ、実はAylerの様なスピリチュアルなヴァイブも響かせる。そういうアルバムの後に『the elements』を聴くと、その音の辛辣さにハードコアだと思う。とにかく強烈な音が短いトラックとしていくつも並ぶ。この音はサックスという楽器の限界じゃないの?、とか、考えつつ、思わず3回連続再生。自分の事なのによく覚えていないけど、3回連続再生なんてここ10年はしていないはず。だけどそんなことをしていると、よく知っているはずのジャジーなテナー・サックスの音がどんなだったか思い出せず、更にこの音が基準になると色々面倒になる気がしたので、Sonny Rollinsの『Solo Album』で中和中。こっちはメロの洪水。
まだわずかしか生音を聴いていないこの人のサックスの独奏を、いつかオレの行動範囲で聴ける日が来るのだろうか?

けぇふっ。

広瀬淳二 『the elements - tenor saxphone solos』