Another Perspective on Free Improvisation vol.17

もう大分前からそれなりにJohn ButcherのCDを聴いていて、だけどやっとここ数年、多分丁度Butcherが日本でライブを行って帰ったあたり(2007年)ぐらいから、気になりの度合いが高まった。そんななので、ライブは見てなかったのだけど、昨年の『Resonant Spaces』でますますますますライブが見たい気持ちが高まり、頼むから再来日してというか誰か呼んでくれと思っていた。ら、やっと来日。が、なんかイマイチ、オレの行動範囲と都合からずれてしまっていて、まずい?、という気分になった。けど何があっても今夜は行くことに決めて、無事決行。場所は吉祥寺のdzumi。2桁客くるか?とか思っていたら、20人ほどの客入り。いつの間にフリーインプロがこれだけ浸透したんだ?って、思った。
今回のツアーのメインはEddie Prevostとのデュオらしいのだけど、今夜はButcherのソロ。正しくこの状態が聴きたかった。メアリージェーンではMats GustafssonとJim O'Rourkeのデュオがあるのは勿論知っていたけど、今夜は迷い無し。
サックスの独奏、しかもインプロというのは、ライブでは時々少し聴く機会はあったけれど、1つのライブがそれだけというのは今回が初(のはず・・・)。実はビビりもあった。Butcherは誰もが想像できるサックスらしい音色で演奏する演奏家ではない。そういうモノも取り入れつつ、特殊奏法を駆使した演奏を聴かせる。なので終始小さな音だけで演奏が進む可能性も浮かんだ。もちろんそれはそれで聴くべきはあるのだけど、dzumiは小さなスペースで、そういうところでは緊張の度が高まる。それは苦しい体験にならないだろうか?と、考えた。
1stがテナーで2ndがソプラノを用いていた。アンコールは無く、10分ほどの短い休憩を挟んで1時間ほどで終わった。この短い時間、1音も逃したくない気分でButcherをガン見。そのサックスから出される音を舐める。時折わかりやすさを挟みつつ、何も知らなければ間違った音だと思われそうな音の響きに無抵抗。そのスキルの高さから出される音には、なんかエレクトリックな仕掛けがあったか?、と、思ってしまう様な音もまぎれている。音楽を聴くというのは、メロを聴くとか、ビートを追うとか、まあ色々あると思うのだけど、音色を聴くという事もそれらと同じ意味がある事を確信していたけど、今夜でそれが確定した。開演前にButcherが「このノイズは何?」というようなやり取りを関係者としていて、それは虫の鳴き声なのだけど、それや時々聴こえてくるバイクのエンジン音がButcherの音と混じって、でもそれら全部が1つの音楽だったと思う。演奏の時間が短くても、それが濃厚であれば充実は確実。
このところ物販を利用する事を控えていて、だけど水曜に久々にMarcos FernandesのCDを1枚買って、今夜も覗くと5種類のCDが置かれていた。パッと見、1枚は持っていたけど他の4枚持っていない。それらを手に取って眺めつつ、どれを選ぶかの基準が無かったので、考えるのもめんどくさくなり4枚購入。大人買い。再生中。