八木美知依ソロ: 十六夜

ホントの事を書くと、実は元々今夜はピットインの『内橋和久&ドラマーズ』を見る予定だった。というのも、多分スケジュールを知る順番として『内橋和久&ドラマーズ』を先に知っていたのでその予定だった。その後八木さんのライブを知って、だけど重なってるとは知らずにどっちも行く気だった。が、1週間ほど前にダブっていることに気付く・・・。『内橋和久&ドラマーズ』は予約済みだけどチケットは当日買うつもりだったのでまだ支払いをしていない。色々考えて『内橋和久&ドラマーズ』をキャンセル。内橋対中村達也ってかなーーーり興味深い組合せだったのだけど、まあ、こういうもん。
という事でクラシックス。1stは当然八木さんの独奏。曲のタイトル紹介もしてたけど、全然聞いてないオレ・・・。でも最初の曲は今までにも何回か聴いている曲で、この曲の最初の方の八木さんの歌声がハミングに聴こえるのだけど、オレはそこがもの凄く気に入っている。出来ればそのまま、歌詞じゃなくてハミングの様に歌いきって欲しいぐらい。そして続いた曲では序盤の音数少ない感じから、徐々に込み入ってくる。(多分)リアルタイムなサンプラーを用いていて、なので八木さんの音だけが重なり合う感じが面白くて、グッとくる。あのSな八木さんのアプローチじゃないんだけど、かなりヤバイ感じだった。1stの最後は「Summertime」。あの曲を箏でってのは聴いてなければちょっとどうなの?って思うかも知らんけど、そこはあの17弦で少しジャジーに、ギリギリ和的な響きを残しつつ、メロが尊重された印象。
2ndも八木さんのソロから。この次の曲からMats Gustafssonが加わるとの事なので、ここは意図的に弦の響く感じを拾う。他の弦楽器とは違う独特が響く。「堅い」「硬い」「固い」というどの文字にもあてはまらない。だから端正という言葉が使いたくなる。そして今日来日したばかりだというGustafssonが加わって「十六夜」。もうこの曲は八木さんの代名詞という印象。そこにやはり一音ずつが本気なGustafssonがフリークトーン気味に絡む。やってる事は剛と剛だと思うのだけど、明らかに違う楽器同士のバランスが際立つ。本編最後は、これも八木さんのインパクトのある曲「Rouge」。17弦の独特のグルーヴがバリトンの咆哮も逃がさない感じで巻き込む。30分ぐらい続けて欲しかった。
この後インプロ気味なアンコールで今夜のライブは終わった。まだ21時過ぎ。即タクシー拾ってピットインに行けば2ndは見れそうな気がしたけど、今夜はそんな事する必要は無いな、と、思った。半地下なクラシックスから表に出て左に曲がると大量の人の流れ。明らかに何かが終わって帰る人達。こっち側の方が人が多いので、C.C.Lemonホールだろうな。クラシックスからの帰りは時々この状態になるのだけど、その流れに逆らう感じが気に入っている。