ハン・ベニンク 灰野敬二 DUO

今日は台風が近づくだとかでやきもき。昼は雨が強くなり、今夜のライブに行く時とか帰りとか、かなりヤバイ状況か?と思ったけど、15:00ぐらいを境に雨は弱くなり、台風も勢力を落として熱帯低気圧扱い。結局六本木駅からSDLXに向かう時は傘もささずに済んだ。
スーパーデラックスのスケジュールのとこに書いてある、2年半前のHan Benninkと灰野敬二の共演はBenninkの3daysの中で1セットだけあったやつの事で、オレはこのセットでやっと、灰野のギター以外の演奏の凄さを思い知った。灰野さん、今までごめんなさい。というセットだった。なのでその再現の今夜は期待度がかなり、かなり高い。ちなみに今夜のSDLXは縦長なセッティング。
1stはそれぞれのソロ演奏で、まず灰野。シンバルや小物を使った演奏。とにかく音の響きのセット。SDLXはこういうモノの音の響きがハマる場所で、灰野がシンバルで床をすりすりしたりして出す音までが美音。さらに灰野らしい大きなアクションもあり、ガン見。
そしてBennink。2年半前の3daysでは、いずれの日もBenninkのソロが最初のセットだった。のだけど、オレはそのソロセットは殆ど見るという事は出来ず、聴くだけだった。だけど今夜は視界を得られて、その演奏を聴くだけじゃなくて、見る。予想外に速い叩きや、トレードマークのスネアに足をのせたりなど、ドラムソロという難しいセットをユーモアも交えつつ展開。そのエンターテインメントの部分が、シリアスな灰野のセットと対照的で面白かった。
2ndはデュオ。が、、、うーん、、、どうしようかな・・・。とか考えたのだけど、書いてしまおう。というのも、このセット、残念ながら音楽の印象は残らなかった。それはBenninkと灰野の演奏の問題ではないし、PAの問題でもない。今夜このライブを見た人の中にはオレと同じ様に2ndはとある客の動向に持ってイカレタ人が何人も居るはず。その客は丁度中央ぐらいにいたか、演奏にあわせて大きく体を動かす。その姿はまるで宗教的にひれ伏すようで、あまりにも大きいその動きを見てオレは仕込みだと思った。演出だと思った。だけどどうにも違うニオイ。んんん、と思って、視界から外そうと思ってそういう方に顔を向ける。が、今度は声を上げ始める。灰野の声を模して声を上げる。ここで確実に演出ではないとわかり、これはキメてやがるな、、、、という状態。もうこうなると無理。音楽を聴く状態になれない。オレの近くにいた客は似たような感じで、これは前方にいればあまり気にならなかったのかなあ、失敗したな、と、思った。だけどアンコール要求の途中、その時にも声を上げているその客に前方の客から大声でクレーム。やっぱ前方でも不快を感じていたか。
話はずれ気味だけど、帰り道、色々考える。ライブという場は、客それぞれの楽しみ方はあるだろうけど、それは決して自分の思うままに自由に過ごす場ではないという事の確認。例えばオレはタバコ吸いだけど、演奏を聴いている時はタバコを吸わない。それは、ニオイというものが演奏を聴く上で障害になる事を自覚しているからで、タバコの嫌いかも知れない人の横で平気で当たり前にタバコを吹かすという行為は出来ない。ハコという狭い場所は、圧倒的に他人の中でそれなりの時間を過ごすわけで、だから実は、普段よりもモラルの場。その中で1人が許される行為は、他の全員に許される。客全員がいっせいにタバコを吸い出したら変じゃないか? 今夜の客全員が灰野の声を模して声を上げたらどんな事になるか? そういう事を頭に入れつつ、見知らぬ他者だらけの場だという事を認識しながら、今後も足を運ぶ。とは言いながら、クラシックじゃねんだからそんなに堅苦しくてどうする?、という気持ちもある・・・。