藤井郷子 / Myra Melford

藤井さんとMelfordのデュオは前回のMelfordの来日時に荻窪のクレモニア・ホールで見ていて、昨年じゃないよな、一昨年だっけ?と考えていたら、なんと3年前だった・・・。あれからもう3年経つのか・・・。まあいい。
今夜はピットインでそのデュオ。『PIANO DUO 3NIGHTS+1』というピットインの企画に組み込まれた形。凄いタイミングだな。
ピットインのステージにグランドピアノが2台。ピットインでこんな状態、初めて見た。恐らく今夜以外のライブでは違うだろうと思うのだけど、今夜の2台のピアノは蓋が無い。
1stは3つの演奏。全て即興らしい。ピアノに蓋が無いのは両者ともピアノの内部へ鍵盤を使わずにアプローチするからで、2台のピアノから色んな音色。藤井さんが少しドシャメシャする以外は、音の方向を意識しないとどっちが弾いているのかわからない。2つのピアノが即興で同じ方向に演奏が進む。これをフリージャズと言う気には全くなれなくて、ただ、自由な音楽だと思った。
2ndはMelfordの独奏から始まる。オレの理解できない英語で演奏前に説明しているのを聞いた感じでは、Andrew Hillの曲とMelfordの曲をつなげている。恐らく最後はHillの曲に戻った構成。全く違うかもしれんでの、どこかに情報がアップされるのを期待して下さい。それはそれとして、その演奏は1stに比べれば当然ジャズ感が強い。メロを歌うかのように楽しそうにピアノを弾くMelford。やっぱりジャズが根底にあるんだな。と、認識。
ピアノデュオのはずなのに、ゲストで管楽器が2つ加わる。1人は当然のようにトランペットの田村夏樹。そしてもう1人、クラリネット奏者。この人は誰?と思っていたのだけど、説明が無い。まあいい。するとそのクラリネット、凄くいい音で聴き惚れる。こんなにいい音のクラリネットは初めてかも知らん。そして田村はロングトーンを連ねる。田村のこの音のセンスはいつ聴いても面白い。管楽器が作った音に2人のピアノが細かく絡む。この音の層の違いが気持ちいい。この組合せで3曲ほど演奏。セットの最後はデュオに戻り、今夜で4回目というこの組合せが、たったそれだけでこんなに作り上げられるんだなあ、と、少しそういう事を考えつつもあっという間に2セットが終わってしまった。
アンコールは全員揃って。2ndでラス前に抜けた時にクラリネット奏者の名前がわかった。大熊ワタル。やっぱそうかあ。と思った。昔、この人のCDを結構聴いていた。そういう人の演奏をここで聴けて、なんか、何かがオレにラッキーをくれた気がした。あのクラリネットの音色は絶品だった。そしてバスクラも使っていたのだけど、それはちゃんとDolphyしてて、ニヤニヤ。

Monk無しだったけど、1つ苦言。それはカメラマン。大体のライブで、記録の意味合いもかねて関係者なんかがちょこっと演奏中の写真を撮ったりしているのだけど、そうれは当然の様に少しの行動。だけど今夜のカメラマンは違う。コイツは多分取材で来ていた。2ndの途中から端の方とはいえステージの前で長い時間、立ったまま写真を撮っていた。しかもMelfordだけが目当てな撮り方。コイツが居る事で演奏者の姿をさえぎる事は無かったのかも知れんけど、ステージを見るとずっとコイツが目に入る。なんかおかしくないか? さらにコイツ、わずかだけど勝手に田村の譜面台を動かす。写真を撮る為に演奏者のものを動かすなんて、何か間違ってないか? そしてコイツ、オレは今年ピットインで3回見ている。今までもジャマな行動はあって、それでもログに書かずに我慢していたのだけど、今夜のはそうはいかない。コイツはどこの媒体のカメラマンなんだ?