本田珠也・大友良英 DUO

本田と大友という組合せは以前あったけれど、なんとなく違和感と言うか、微妙に畑が違うイメージがある。でもだから面白いという気もして、ピットインに。そしてら立見も出る盛況。おお、このデュオにそんなに人来るんだ、と、どぅまんぎた。
1stは、大友の「Lonely Woman」を引用した演奏で、フリージャズ的に始まる。そしてヘヴィーなロック、フリーインプロ、またもヘヴィーなロックという感じで進み、最終的にはアヴァンに至っていたと思う。少しずつ聴く機会が増えてきた本田のドラム。パワフルに、どちらかと言えば直線的に叩き込む音は、回数が増える毎に耳に残るようになってきていたのだけど、今夜の1stはそれまでが総動員されたような印象。フリーインプロな展開の時のスネアにのせた金物の音が凄まじかった。大友は、まあ、多々聴いているので今更だけど、でもドラムとのデュオというセットはそんなに数多い記憶はない。本田が凄みを見せたという事は大友がそれを引き出しているという事。
2ndはゲストの菊地成孔が加わる。今夜のこの客入りは、この人の出演が関係している。その証拠にオレの隣に座っていたご婦人方が・・・、止めとくか。その菊地はキーボードでの演奏ではじめる。2曲ほどその状態。その最初の演奏は菊地はベース音を使うのだけど、これがMilesの「Right Off」を切って並べたような印象。その次は『アガパン』のキーボードや、Milesのワウの効いたラッパをキーボードに置き換えた印象。そしてアルトサックスに持ち替え、アンビエントというと言いすぎだけど、そういう言葉を使いたくなる演奏。と、こう書いてわかるように、このセットは本田と大友は菊地に合わせた演奏になっていたと思う。1stのお互いを引き出すような演奏は見られなかった。そしてここでスペシャル・ゲストという事で、ケイ赤城が加わる。おお、この人を見るのは20年ぶりぐらいじゃないだろうか。Milesバンドの一員として伊豆で見て以来・・・。その赤城は菊地の使っていたキーボードを弾く。さすが、ホンモノのMilesのバンドに居た人で、ここでやっとバンドがファンクする。そして菊地のアルトも咆哮。本田も音に迫力が戻ってきた。大友は、この人らしさで、裏側的にギターを掻き鳴らす。でも、大友と赤城を同じステージで見るなんて、全く想像出来なかったな。
アンコールは本田、大友、菊地。ここで菊地はキーボードに戻る。そしてその演奏は、坂本龍一の「differencia」のようだった・・・。