灰野敬二×山川冬樹

久々に縦長のスーパーデラックス。

何度か山川の演奏を聴いているけれど、ホーメイとイギル使いというインプット。音楽も、そういう雰囲気の中で行われるものという印象だった。それが灰野とデュオというのは、灰野の持つ色々を考えれば納得できるのだけど、なんとなく違和感もあった。
序盤から中盤までは、イギルや自らの心臓の鼓動をマイクで拾って流し続ける山川、そして金物を主に扱う灰野という図式。2人の動きも含めてある種の異様。その異様さが、音楽を聴いているという感覚から外れるのだけど、音の印象は確実に残る。この中で動いている音の雰囲気だけで、今夜のライブを成立させると思っていたのだけど、予想外にもギターを持ち込む。だけどサンプリングをして音を重ねたりしながらも、ノイズ一辺倒ではない灰野。さらに山川もギターを取り出し、弦には触れずにギターのボディを叩く事で発する弦の揺れでこちらがノイジーを引き出す。そして、それまでにもところどころで見せていたお互いのヴォーカリゼーション。

SDLXの説明にロングセットと書いてあったので、もしかして1時間半ぐらいのセットという事なのかと思っていた。演奏が終わった時には、確かに1時間は越えてるなあと思って時間を確認すると22:05。開演予定が20:00だったので、そこから多少ずれ込んで始まったのだけど、約2時間のパフォーマンス。1度も途切れることなくこれだけの長さを全くそう思わせないのは、どういう事だろう。
このパフォーマンスが成立するのは、恐らく、意識に対する取り組みが、この2人は共通しているのだと思う。
灰野については今更付け加えることは無く、無二の存在感。だけど山川がここまでのパフォーマーである事に驚いた。シンバルを蹴りながら自らの額を只管叩いてビートを出したりしていたのだけど、見ているほうがフラフラになりそうなその姿、本人のHPにYouTubeにアップされた映像があったので、それを以下。