井野・千野・今井

前夜のログでロックだロックだロックだロックだとはしゃいでいたくせに、今夜はクラシックスでインプロ鑑賞。この前の土曜のピットインの昼の部に井野さんと今井のデュオがあったけれど、夜の方を見る選択をしてたので我慢した。普段なら我慢できないけれど、今夜のライブがあるのを知っていたので、我慢をしてみた。

ベースの井野信義、ピアノの千野秀一、ギターの今井和雄。この3人のフリーインプロ。仕掛けの無いアコースティック。ロックはどこにも無い。
開演予定から25分遅れて始まった演奏は、75分、1セットだけのライブになった。かろうじて二桁に届いているぐらいの客席を前に、75分を各々のイマジネーションだけで演奏。
決まっていないのだから、上下しながら右往左往するのは当たり前。どうなるのか?と予測してみたり止めてみたりしながら演奏を聴く。オレはそういう単純な行為しかない。
75分、わずか3人でアコースティックにインプロ演奏を続ける事の厳しさは、想像できる。見たことがあるようで、多分オレは今までこういう演奏を見ていない。
日本に限らず、フリーな演奏、もう少し言えばフリージャズの中でピアノは、ドシャメシャを使う。ちょっと引っかかる言い方をすれば常套句。でも多分千野にそれは無かった。強い音も叩きつけるようなわがままな音じゃなくて、一見軽い。その軽さは表層的なのかもしれないけれど、音は消えるという当たり前を気付かせる。
恐らく、ライブで聴いたギターで個人的に最も好きなのが今井の演奏。この人のギターを聴くと、誰のギターよりも聴いていたくなる。毎度の事。
イニシアチヴを持っているはずの井野さん。中盤、一旦引っ込んだりしていたけれど、それ以外は他の2人と同じく演奏しっぱなし。いまだに尽きない音へのアプローチの変化。アコベ特有の雰囲気溢れる音だけで演奏をしても全く構わないはずなのに、井野さんはいつでも変化を求めているように見える。ここまで挑戦的でいられるのはなんだろう?