IPA

AtomicのトランペットMagnus Broo、MotifのテナーサックスのAtle Nymo、AtomicのベースIngebrigt Haker Flaten、MotifのドラムHakon Mjaset JohansenによるユニットがIPA。その1stアルバムが『Lorenaicon』。これは6月のHavard Wiik Trioのライブ時、某氏に前日のMotifのライブがカッコ良かったという感想を話し、さらにサックスのNymoが凄く良かったという話をしたら、珍しく物販を勧められて手にしたもの。AtomicとMotifが半分ずつというバランス。



端折って言うと、60年代初期のOrnetteのカルテットが頭に浮かぶ。アヴァンギャルドというジャンルみたいなものが確立される前のフリージャズ的。しかもOrnette的なのは楽曲や楽器編成だけじゃなく、ESPの作品や後期のColtraneの様に難解だったり力入りまくりだったりせず、喜々としてジャズしている感じも当てはまる。

ここで一番耳を引くのはやはりNymo。吹いてるのはテナーサックスだけど、そのせいでもあるのか、重心の低いDolphyの様にソロを取る。なのでフリージャズというより、あえてニュージャズ的と言いたくなる。ライブでも思ったのだけど、ここ数年で聴いた若手のサックス吹きでは筆頭にカッコいいソロをかます。いや、若手とか限定せずとも、このサックスはカッコいい。

そのNymoのまわりで賑やかしの様にラッパをかますBroo。そのBrooにも時折Dolphyを感じるオレはちょっとマズイかもしれない。更にそのヴォイスの豊富さが特徴的で、この人名義のCDも探す必要を感じてきた。

個人的に、Flatenがベースを弾いているならばそれだけで安全印が押されているようにも思えるのだけど、やはりここでもFlatenはジャズな音色をゴツゴツ。この人には余計な事を書く必要無。

Johansenのスピード感とだからの軽やかさは、こうやって録音物でも確認できる。パーカッションなアプローチが持ち味だと思うのだけど、その明るい音色はSonny Rollinsの『Saxophone Colossus』で叩いていたと言われても納得してしまう。それでいてちょっと変体気味。ツボ。



今年、何の迷いも無くジャズといえる音源で最も繰り返した。





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IPA 『Lorena』