Floating Worlds Trio Japan Tour

今夜はかなり待った感あり。

尺八とクラリネットとテナー・サックスのAb Baars、ヴィオラのIg Henneman、二十弦と十七弦な箏の八木美知依。スーパーデラックス。



今夜のSDLXは珍しく縦長なセッティングで、「へー?」と思った。のだけど、今夜は22:00スタートのイベントが仕込まれている事を思い出し、そっち向けでって事か、と。「しかし木曜の夜中のイベントって、学生以外は来ないよなあ。金曜なら働いている人もありだろうけど。」とか思ったけど、まあ別にいい。

そういうケツカッチンな状態なので、今夜はセット分け無しのアンコールを含めて1時間半ほどの演奏。個人的には按配として、こういう時間割りも良かったりする。



即興演奏ではなく、楽曲の演奏。これはちょっと以外だったのだけど、そういう方が演奏が熟成していくはずで、先月のオランダでのツアーと今月の日本でのツアーが合わさった成果が今夜に見て取れる。

3者が行きっぱなしにならず、インパクトだけの演奏を行わない。それぞれがエフェクトせずに楽器を響かせる演奏家だから、音の粒がハッキリ聴こえてくる。これがライブという場で演奏を聴く楽しみで、それを強く感じさせる3人の名手。



Baasは初っ端尺八を扱う。こうやってマジマジと尺八の音色を聴く機会は少ない。それをオランダの人がやってくれるというのは不思議な気分になるのだけど、付け焼刃では無い。そしてクラリネット、テナーサックスと持ち替える。特にテナーの響きはこういう音数の中だからか、かなり響きの良い音になっていて、主役の音を今夜一番出していた。

Hennemanのヴィオラは、まあ、勝手にヴァイオリンと同じ扱いで聴いてしまうのだけど、擦弦の持つ抗えない音色を響かせる。最後かその前の曲だったか、無伴奏でのソロはかなり耳を引き付けられた。

で、やっぱり八木さんの音が印象に残る。必ずしも前面に出る展開ではなかったのだけど、後ろから音楽する時も、そしてあの独特の音色を羅列する時も、イチイチそこを聴いてしまう。アグレッシヴに音を出す時が個性はわかりやすいのだけど、そうじゃない時の音にも引っ張られるから、オレは八木さんの演奏が好きなんだと気付く。それでいて十七弦でグルーヴも醸し出す。9月のピットインでも演奏した曲を今夜もやっていて、それを聴きながら作曲という面でも、惹きつけられ手いる事も確認。



アンコール終了後、ステージに幕がかけられる。即撤収なんだな、と。時間はあったのでもう一杯東京エール飲みたかったけど、ジャマになるのもなんなんでそそくさと帰った。



折角ここまで続けてきたユニットなのだから、なんらかの形が残って欲しい。特に八木さんは、その演奏活動から考えると録音物の数が少なく、録ったら出しぐらいの事をやってくれてもいいのになあと常々思っていて、でも、ネットを悪用して音楽を盗む事が恥ずかしくないダサい恥ずかしい大人(お前ら報酬無しで仕事するんか?)が増えた中で中々そういう事はやりにくいかもしれないけれど、CD-Rとかでも全然いいので、優れた演奏家の音をもっともっと記録していって欲しい。


あっ、来週はJaga Jazzistか。月曜はO-Eastで水曜はO-Nestか。さすがに両方ってわけにはいかないのでどちらか・・・、悩む・・・。