Fenn O'Berg

The Magic Sound of Fenno'Berg』と『The Return of Fenn O'Berg』を抱き合わせてボートラをつけた『Magic & Return』がいつの間にかリリースされている。ちっ、と思う。買い直せと?、そうそうその手に乗りたくないので保留。でもまあ多分年末には気が変わる。



Christian Fennesz、Jim O'Rourke、Peter Rehbergの3人によるFenn O'Berg。新しいアルバムを作る為にFenneszとRehbergが日本に来ているとか。で、当然ライブがあるわけで、そういう情報が入ったのは8月だか9月で、でもどこでライブがあるのかわからず、かなり苛立った。もしチケットが手に入らなかったら?とか。やっと見つけたライブの情報は名古屋でのもので、まさか東京でやらないって事無いよな?とか思っていたらスーパーデラックスにスケジュールが載った。そう来たか。即予約。で今夜。



エレクトロニカというジャンルが本当にあるのかどうかよくわからないけれど、とにかくそういうモノとして扱われる中でFenneszの作るものに最も惹かれる。今年の来日時はユニットでのライブだけじゃなく、前日の名古屋にまで日帰りで足を向けた。

初めて見るRehberg。Pita名義のいくつかのアルバムは、Fenneszのそれと同じ様に繰り返し耳にしている。出来ればソロでの演奏も見たいところだけど、それはそのうち。

そしてO'Rourkeは、ぶっちゃけオレが今最も優れた音楽家だと思っている人。そのO'Rourkeはコンピュータを使って音楽する事は殆ど無く、その数少ないのがFenn O'Bergで、何度もライブを見ているO'Rourkeだけど、初めてラップトップの前に座っている姿を見た。



1セット、1時間ほどの演奏で終わるという短いライブ。けれど2セット演奏するようなタイプの音楽ではないので、なんとなくそういう気はしていた。



ラップトップのユニットとしては若干反則気味にFenneszがギターを持っていて、だけどギターを弾くという扱いじゃなく、音を発する装置の一つとして、わずかに。向かって左からPita、O'Rourke、Fenneszと並び、O'Rourkeの後ろにはピアノがあって、もしかしたらわずかでもそれを使う場面があるのだろうか?とか思ったけれど、結局触れず。

誰がどの音を発しているのかは、それなりの距離でかなり手元を注意して見なければわかりにくい。でも、いかにもFenneszの音の時間があったり、Pitaな時間がある。それ以外にもいくつもの音が現れては消えて、そういう起伏で音楽が進む。即興で演奏されているとはいえ、音を発するラップトップはいわゆる楽器ほど肉体的に直結して音を発することは難しいはずで、そういう制約があっても即興である事がこのユニットの意味なのだと思う。

インプロヴァイザーとして、文句なしの優れた奏者であるO'Rourkeにはめられた足枷は、音でコントロールするいつもとは勝手が違うはずなのだけど、全体はやはりO'Rourkeがコントロールしているように思った。音そのものは知性とノイズなのだけど、音楽の進み方は、O'Rourkeの最新作『The Visitor』を髣髴。