Signals Tour "13 Songs"

少々古臭い言い方になってきたけど、元Blankey Jet Cityのベース担当だった照井利幸。BJC後は音楽活動に重きを置いている雰囲気がなく、それと時々出てくる組合せが個人的な興味にはならなかったのだけど、ヴァイオリンの勝井祐二とドラムの椎野恭一とのバンド、Signalsには反応。しかもここで照井はベースではなくギター、しかもアコギという事で、そのイメージから離れた事も気になる。

そのSignalsのアルバム『Lapis Sky』は、楽器の組合せから想像できる内容だった。穏やかに演奏されるそれぞれの楽器は、もしこの面子でやっている音楽だと知らなければ、正直言って特に気に留めなかったかもしれない。



そのSignalsのライブ。スーパーデラックス。他にゲストのアナウンスの無いワンマン。この音楽のスタイルで対バンもなくライブをこなそうとするのは少し以外だけど、潔い。

なんとなくそうじゃないかと思っていたのだけど、セット分けは無く約1時間半の演奏。アンコール無し。

ライブでは違う事になったりするのかと思ったけれど、前半はアルバムのイメージに沿った演奏。穏やかに、だけど若干のトリップ感を含ませた演奏が連なる。初めてその姿を見る事になった照井。勢いで乗り切ることの出来ない演奏が続く中、アコギを丹念に弾く。勿論手練のそれとは違う。けど、こういう音楽をやる事を望んだ気持ちが感じられる。

中盤辺りからだったか、映像が追加される。特に凝ったところの無いアメリカの田舎の写真といったところなのだけど、余計な事をしていない分、画の力を感じた。

後半にさしかかったあたりから徐々に変化。緩さよりもグルーヴが目に付く。前半は抑え気味に演奏していた勝井の持ち味が出はじめ、椎野のドラムも熱っぽくなる。このあたりは録音物では感じられなかった。だけどやりすぎず、ビールを乾かすには満たない。

18:30が演奏開始の予定時間だったのだけど、この時間設定はこのバンドの独特な立ち位置にあてはまっている様に思えた。



物販を見ると『Lapis Sky』じゃないSignalsのCD。それは『“the light, the shadow, and the satellite.”(光と影と人工衛星)』という新作。新作が出ることを全く知らなかったので、妙に得した気分。