The Thing + 大友良英

サックスのMats Gustafsson、ベースのIngebrigt Haker Flaten、ドラムのPaal Nilssen-Love、で、The Thing。それに大友良英が加わって、日本で7日間毎日ライブ。その後韓国でも2日の予定が書かれている。



東京は今日から3日間あるので、あえて今夜は外すつもりだった、と前のログに書いたのだけど、その時点でチケットの番号が思ったよりも若かったので足を向けることにした。外すつもりだったのは、今夜のゲストの山下洋輔が個人的には好みのピアノでは無いという事。この辺は単に趣味の問題で、オレはあまりにも手数の多いピアノをライブで聴くのはそんなに面白いと思ってない。



1stはThe Thing + 大友良英。Thingと大友の組合せは2年前に見ていて、グループとしての相性の良さは記憶していた。なのでその確認とか、余裕ぶっこくつもりは間違いだった。超重量級のThingが1年ぶりに目の前で音をかます。通った後は草木が見当たらなくなりそうな重厚。そこに大友が少し裏側で音の色付けをするので、耳の逃がしどころ無し。耳掴まれて、思いっきりでかい声で叫ばれているような気分。没頭。2曲の演奏。セットとしては短いかもしれないけれど、出ていた音の数は2セット分を超えている。



2nd、山下さんが加わる。好みではないといっても、Thingにピアノが加わるという編成は聴いた事がないし、よく考えてみたらThingは『Action Jazz』で山下さんの曲を演奏している。それは単に日本のフリーの重鎮と演奏するという事じゃなくて、Thingが望んだ組合せという事。

山下さんとPNLのデュオで演奏が始まる。音のバランスとしては、ちょっとピアノの音が大きい。だけどそんな事はお構い無しに音を叩き込むPNL。余裕をかます気の無い山下さん。2人の音のぶつけ合いに、他の面子も加わる。ここから半端ない状態が始まる。圧倒されるぐらい、音が飛び散る。Flatenのベースは激しく真ん中に定位しようとするし、Gustafssonはひたすら咆哮。音ありまくり。そして突然山下さんとGustafssonの音が止む。するとそれまで気付いていなかったのだけど、大友のギターがぶち切れている。大友のこのパターン、実はそうそう見れない。とにかく5人が音を放出し続けて、「ヤバイんジャないですか?」というぐらい。これは昨年もやり過ぎてしまったThingという結果があったのだけど、そんな状態。どうも今日来たばかりっぽいのに、マジですか?、と。

そして反省したかのように、次はGustafssonもラインが確認できるような演奏になる。圧倒と言う意味ではその前に譲っても、演奏される音の豊富さと言う意味では、この演奏の方が記憶に残った。



アンコールはフリーインプロとフリージャズを行き来するような雰囲気。今夜の2セットの成果を凝縮したようにも思えた。



今夜は山下さんの手数が功を奏したと思う。Thingに対しては中途半端より、やりすぎぐらいな音数が無いと対抗できない。またこの組合せが見れるとしたら、行く。