オランダ対日本

フレンドリーマッチという位置づけではあっても、色々複雑な気分のオランダ対日本。オランダのサッカーが好きなオレとしては、あの攻撃的なサッカーを楽しみたい。だけど、やっぱり血には逆らえない。日本が負ければいいとか、そんな事を思うのは難しい。なのでオランダが圧倒的なサッカーをしながらも、日本がギリギリ凌ぐという展開がいいと思っていた。



一夜明けて色んな意見を見た。オレも70分までは日本のサッカーが勝っていたと思う。そこまでのボール支配率、そして時折見せる細かいつなぎのパスワークは、まさに舌を巻くという表現だったはず。個々では勝りながら連動しないオランダ。その構図はあの先制点の場面まで続いた。だけどそれを見ながら、オランダが先制したら日本の失点はそれで治まらないことの予想もついた。そして、日本が点を取れない事もなんとなく気付いた。それは後半、玉田に替えて出てきた本田がまるで仕事が出来ないのを見て思った。本田が大口をたたくのは嫌いじゃないけれど、仕事をしないのなら只の大口叩きで終わるし、実際そういう結果に終わった。本田が日本代表に合わせた動きが出来たなら、3-0という結果にはならなかったはず。

1人で局面を打開してみせる危険なプレイヤーは、今回の日本代表にはいない。それは要するにドリブラーという事なのだけど、そういうものを持っている筆頭の日本人は、松井と田中。怪我の松井は仕方ないとして、そういう選手を揃えていない今の日本代表は、展開を変えたいときにそれが出来るプレイヤーはいない。戦術が嵌ればいいのだけどダメだとわかったとき、同じタイプの選手交代を繰り返しても結果は実らないことになる。

岡田監督はとにかく90分プレスし続けるサッカーでW杯に挑もうとしていることが今回の試合でわかったけれど、無理だろ。どう考えても。一試合それが出来たとしても、W杯は短い期間で最低3試合する。格上のチーム相手に、それをこなすとか、ミスマッチ。バランスの取れていないチーム編成に加えて無理な戦術は、多分2002の韓国の様なチーム作りを狙っているのかもしれないけれど、あの時韓国は代表の選手はそれだけで合宿をして徹底的にフィジカルを鍛えるという特別な事をやった結果。

多分日本代表に必要なのは、必要な時間帯にプレスするセンスと、仕掛けの為のドリブラー。そして、今のバランスの悪い小兵FWを2人並べるのを止めて、やはり体の強いFWを用意する事。これが出来なければ、W杯ベスト4なんていう身の程知らずな目標どころか、トーナメント進出どころか、3敗で終わりという結果になっても不思議じゃない。



オランダはモチベーションの問題はあるとはいえ、結果だけで評価しようとすると苦しい。アジアのチームに対してボール支配率で劣る印象というのは予想外だっただろうし、点が入るまではEUROでロシアにやられた時を思わせた。そしてフレンドリーマッチだったと言う理由でイエローにされたスナイデルの悪質なタックルは、レッドどころか何試合か出場停止でもおかしくない。あれはなんとなく、スナイデルがレアルから放出された理由を見たような気がした。

オランダ代表に期待するものとして、甘く考えていたらEUROの二の舞になることを思い知るいい機会になった事を願う。