ULTIMATE MUZIK

Vincent Atmicusを見たのは06年の12月が最後。個人的には2年8ヶ月ぶりという事になる。MCで芳垣が「VAは2年半ぶり」と言っていたので、大体同じぐらい。

前回は、というか、VAは今までピットインでしか見てないけれど、今夜は渋谷の7th FLOOR。このブログにこのハコの名前を書くのは初めてかも。まあ、今夜初めて行ったから当たり前だけど。でも、行った事はなかったけど場所は知っていた。O-nestと同じビル。右側のエレベーターを使うと7階まで行けてそこが7th FLOOR



行くまでなぜか勝手にVA単独だと思い込んでいた。なので入場料払うときに「お目当てのアーティストは?」と聞かれて一瞬「は?」と思った。なんとなく「小柳ゆかりです。」と答えようかと思ったけど止めた。ちゃんと「VAです。」と答えた。

中に入るとステージから客席側にパーカッション類が飛び出して並んでいて、「今夜の芳垣と岡部はかなりやる気だな」と思った。間違い。そのパーカッション類は辻コースケ×伊達弦のデュオ用のセッティングだった。



という事で1stはデュオ。辻コースケの方はなんとなく名前は聞いた事あるような気がして、もしかしてONNのメンバー?とか思っていたら、VAのアンコール後に芳垣がそう言っていて、溜飲を下げる。伊達弦の方は全く知らない。

パーカッションのデュオで1セットって結構厳しそうだなって思っていたのだけど、これが結構カッコよかった。ごめんなさい。小物とか何かしらの変化はなくて、殆どひたすらパーカッションを両の手の平で叩き続ける。ビートだけで音楽される。なのにベースも無いのにグルーヴがあって、これは立って聴きたいなあと思った。多分、10分、20分、10分という感じの構成だったと思うのだけど、この間ひたすら叩く。多分両者ともパーカッション専属の演奏者だと思うのだけど、そういう凄みがあった。



1stが熱を上げてくれて、そして2ndのVA。まずは面子をコピペ。

芳垣安洋(perc)、 岡部洋一(perc)、 高良久美子(vib)、 勝井祐二(vln)、 青木タイセイ(tb)、 松本治(tb)、 水谷浩章(b)。何か足りないと思ったら、ヴァイオリンの太田恵資がいない。首になったか?と思ったけど、これも芳垣のMCで、そうではなくてブッキングが上手くいかなかっただけだとわかる。前回の時は水谷がいなかったので、連続でフル面子ではなかったけれど、それは仕方がない。

VAでのライブはなくてもその変種のユニットのライブはいくつもあったので、そこでVAの曲は聴いていた。なので、今夜演奏された曲も特に久々感はない。

でも面子が変わることで曲の印象も変わる。久々のVA、今まで持っていた印象はもっとアゲアゲなバンドだったと思っていたのだけど、実際には色々変化する。前に「VAはプログレッシヴなラテン」みたいな事を書いたような気がするのだけど、そこにもう少し加わる。ラテンなボキャブラリーだけの人が演奏するとVAの様にはならない気がする。やっぱこのバンドのベースにはジャズ的な何かがある。ラテンなジャズじゃなくて、ジャズ。それがあるからこのバンドは面白い。

水谷はアコベじゃなくエレベを使っていて、多分それはスペースに制約があったせいだと思うのだけど、今夜はVAにしては珍しく水谷の音は抑え気味。だけど時々ボリュームをコントロールして音量を上げたりとか、この辺はアコベをマイクで拾っている時より、遊べるんだな、と。

勝井は今夜は1人でヴァイオリン担当だったので、それが功を奏して聴き分け必要なしに勝井の演奏がわかる。この人の音楽のアゲ方は手馴れていて、流石。それと、足元のエフェクトを弄っての音も印象。

タイセイはボントロだけじゃなくキーボードやフルート等も扱い、多芸。この人のフルートが特に気に入っている。

タイセイの横で佇む独特の雰囲気をもった松本。ボントロは他の楽器に比べれば出番が少ないので、他の人の演奏をじっと見てたりするのだけど、それがなんかおかしい。

いつもの様に多種の装飾をする高良さんは、珍しく演奏中に笑顔な場面もあった(オレが見た事なかっただけ?)。

芳垣と岡部は毎度なのでいい。でもこの2人のシンクロする瞬間は毎度ゾクゾクする。



VAはアンコールをあわせると1時間半以上の演奏だった。VAだけでもちょっと短めのライブとしても成り立つ分量だったけれど、1stのデュオも面白かったのでなんか得した気分。