芳垣安洋4DAYS: 芳垣安洋×田中信正 Acoustic Jazzset

4daysもあると、1日ぐらいはあえていかなかったりしたい考えがあって、しかも今夜はスーパーデラックスでどうみても面白そうなイベント。なのだけど、やはりピットイン。三日目のこの面子、こっちの方が見たい。なんやかんや、オレやっぱジャズ好きなのかも。



1stは芳垣と田中信正のデュオ。この2人の共演は酒井さんのバックで見ているし、他のセッションでも見ているけど、向かい合うデュオは理想的。

才気溢れるという表現が似合う田中のピアノを、いくつモノ表現を有する芳垣がフォローしながら演奏。「I Got Rhythm」や「All Blues」、田中のオリジナル等が演奏される。フリーなセッションじゃなくて、楽曲の枠があるから伝わる。

1stの最後はEmergency!の曲(?)。ここでベースの井上陽介が加わる。井上は芳垣の大阪時代に何度も共演していたらしい。今夜は楽器毎のマイクが無く、ステージ前方にマイクが2つあるだけだったので、少々ベースの音は聴こえづらい場面もありながら、正しくジャズな音とライン。



2ndはチューバのGideon Juckesとテナーの藤原大輔が加わりクインテット編成。

Silvia Rodriguez(?)というキューバの人の曲から始まり、Kurt Weillの「Moritat」、「(知らない曲、芳垣は「ジゴロ(ひも)のブルース」と言っていた)」、「Alabama Song」と演奏された。Weillの曲を演奏するキッカケは『三文オペラ』で演奏を努めた事らしい。このセットの閉めはBurt Bacharachの「The Look of Love」。

いつもはベース部分を担当する演奏を見る事が多いJuckesも、今夜はベーシストがいるのでテナーと重ねたテーマを吹いたり、ソロを取ったりと、色々。時々、シンセっぽい音色になったりするのが面白かった。

藤原もジャジーな音色で演奏。やはり混沌とさせたりはしないのだけど、なんとなくSteve Colemanが頭に浮かぶ。

井上のベースは1stで思ったように、ジャズな音色。如何にもなウォーキングとかも、こうやって生音に近い状態で耳にすると、定番の良さが伝わる。

芳垣と田中は優れた演奏者としてインプットされている状態では今更印象を残す必要も無く、なのでどちらかと言えばあえて他の楽器に耳をあわせようとするのだけど、結局そうする事も出来ず。



1stの親密な緊張感と、2ndのグループ表現の多彩、満遍なくジャズだったと思う。



アンコールは加藤崇之の「皇帝」。Marion Brownの「La Placita」を髣髴させるこの曲、結構久しぶりに聴く。これを完全にジャズな演奏に仕立て上げていて、キチンと全員のソロ回しまであった。