First Meeting

昨年の藤井郷子さんの東京オケでのKelly Churkoが鮮烈で、昨年末、藤井郷子4でよりによってMark Dresserのトラとして再びChurkoの音を聴いて、面白いのでこのまま小さい編成で藤井さんとChurkoのグループが出来ればなあと思っていたら、ホントにそうなった。

First Meetingがそのユニット名。ピアノの藤井さんとギターのChurko、トランペットの田村夏樹、ドラムにNATSUMENの山本達久。



ライブの宣伝文句に「ノイズとインプロ」とあった。かなりノイジーな展開なのか?と思っていたのだけど、フィードバックの様なエレクトリックなノイズではなく、楽器の持つスペックから導き出す異音をノイズという言葉で表現したものだったと思う。

1stは3曲、各曲10分ぐらいだったと思う。要するに30分のセット。短いのだけど、2nd冒頭のMCで田村が言っていたように、ダレるところの見当たらない内容。

個人的に、やっぱりChurko。引っ掻くような耳障りの音が印象に残っているChurkoだったけれど、もちろんそれがありつつ、ベース弦をまるでヘヴィメタの様に刻んだりする。安直にアヴァンに運ばないセンスが面白い。Churkoが音を出すたび、そこに集中してしまう。

Cecil Taylorばりの攻撃的な音が持ち味の藤井さんだけど、今夜は少し様相が違う。いつもの展開に行きそうな手前で留まったり、少し抑え目で、知性的なフリーインプロの様な音。Churkoの音との相性もいい。

田村のラッパも意図的に、アグレッシヴさを抑えたユーモアの多いものだったと思う。演奏を先導するようにオープンでバリバリと吹く時の田村もカッコいいのだけど、聴いている側を半笑いさせるような妙な音をコントロールする時の田村は例えが無い。

初見の山本。新進のドラム叩きとして名前は知っていたけれど、NATSUMENは録音物すら聴いた事が無かった。パワフルなリズムを叩き込むタイプではなく、パーカッシヴな面が目立つ。今夜の演奏を聴いているだけだと、ジャズを殆ど感じさせないプリミティブヴなタイプ。なんとなく、外山明以降のタイプだなあと、思った。結構好み。



2ndは、20分ほどの演奏が2曲。要するに40分ほどのセット。このセットも短いのだけど、やっぱり文句無。1stよりもハッキリと構成のあるセットで、ここでChurkoはジャズ・ギターな演奏もかます。そして田村のマウスピースだけでの演奏もかなり印象的。



アンコールは無し。なんとなくアンコール要求の拍手の出にくいタイプのライブだったし、それと今夜の演奏は録音して内容が良ければCDでリリースするとライブの冒頭で田村が言っていて、ステージ上で(CDとしてリリースするには)「もう1曲ぐらい必要?」とか言っていたけど、まあOKだろうという雰囲気になり、終演。



という事で、CDとしてリリースされる可能性が高いので、それをお楽しみに。それまで、YouTubeで見つけたChurkoの映像をお楽しみ下さい。



ジャズなChurko。ドラムは外山。この外山の微妙なタイミングのドラムもやっぱ面白いよな。

この演奏を聴いた後ChurkoのMySpaceを開くと、その極端さに驚きます。注意。



八木さんとか吉田達也とかの演奏に接する事になったのは藤井さんとの演奏がキッカケ。外山の面白さを知ったのも藤井さんとのデュオだった。そして今度はChurkoというわけで、改めて、藤井さんの演奏者を選択するセンスに感服。です。