第2回 JAZZ ART せんがわ 〜 野生に還る音 親密な関係 生きる芸術 〜

『第2回 JAZZ ART せんがわ』は三日間のイベントだけど、色々都合もあって二日目のみ行く事にした。

一応1dayチケットを買ったのだけど、見たのは4セット。最初からこの4セットだけ見ると決めていた。



まずはドラびでお。15:00開演にほんの少し遅れたら、会場の仙川アヴェニューホールに並んだ人々を発見。開演が遅れているのか?と思ってちょっと待つ事になり、で、入ったらライブは始まっていて、どうやら途中入場はタイミングで入れていたっぽい。暗い中なんとか席に着く。初めて見るドラびでお。今回はDVDにもなっている灰野敬二との共演。初はソロで見たかった気もするけれど、相手は灰野なので文句無い。

一楽儀光の叩くビートに合わせて映像が切り替わるのがドラびでおの仕組みなので、演奏者よりもその映像をメインに見る事を意識。

ドラびでおは灰野との共演では灰野の演奏時の映像を使うと聞いていたけれど、そうでもなく、色んな映像が交じり合っている。それを見つつ、だけどやはりこれだけの音なので、つい演奏者に目が行く。徐々に暑い外での汗が引きつつあるころ、ハプニング発生。一楽、ローディーをはたく・・・。目を疑う。そのローディー、一楽の娘に見えたのですが・・・。そして強烈なビートを叩き込んだと思ったら、立ち上がってドラムセットを蹴散らし、一楽退場・・・。凍りつく客席。どうもドラびでおのシステムにトラブルがあったっぽい。映像がMacのフォルダを表示している状態になったりして、結局ブルーバックで停止。その前で一人で演奏を続ける灰野。どんどんその音が強くなる。あの音が場を敷き詰める。恍惚。

オレは最後の拍手はせず。ハプニングはドキュメンタリーとしての面白さはあったし、それを気にせず演奏を作り上げる灰野には賛辞を述べたい気分だけど、やろうとしたことが失敗したものに拍手は似合わない。



せんがわ劇場に移動して、八木美知依トリオ。Todd Nicholsonというベーシストと、ドラムには本田珠也。

八木さんのソロからライブは始まった。あの美しい音色がソロで響くと、癒しに思う。そこに八木さんの歌唱も加わる。

Nicholsonと本田が加わったトリオでの演奏は、インプロなセッションではなく曲が用意されている面からも、この日聴いた4つのセットでは最もジャズ(的)。個々の楽器の主張と、それの接着。

こういう場なので、八木さんの音を初めて聴く人も多かったはず。多分、箏という楽器に対する固定概念と、一応ジャズと銘打たれた演奏の場にそれが出てくる事の色々を思って演奏を聴く事になったはず。最初の八木さんの演奏は、恐らく予想から大きく外れないものだったはずだけど、トリオでのアグレッシヴな音はどう聴こえたのだろう? いつからかオレは箏という楽器を単純に弦楽器として捉えるようになっていて、そこには当然の様にギターとか所謂ベースと同じ音を見つけられる。特にフリーインプロのギターをよく聴いていれば、ギターというか、弦楽器はどんなものでも同じ様に聴く事が出来るようになる。それがあるから、八木さんを箏という弦楽器を扱う奏者として聴いて、その音にBaileyとの共通項を感じて、何度も聴きたくなる。今日のライブにもその瞬間はあって、だけどそれだけじゃない八木さんらしいグルーヴもあって、そして箏という楽器の持つ独特もあって、そこに面白さを思う。

Nicholsonの音の特徴までは掴めなかったけれど、八木さんと本田との間を、フレーズというより音色で埋めていた印象。

そして本田は、単純な叩きを使う人じゃないなあと。色々限定して、そこからバリエーションを見つけていくような逞しさ。本田は八木さんとの演奏しか聴いていないけれど、もっと他の場での演奏も聴かないとまずいなあと、思っているところ。



仙川アヴェニューホールに移動してRUINS alone。いつかは見ないとと思っていたRUINS。それがaloneであっても別にかまわない。

aloneになったと言う事は、吉田達也のやりたい放題とも思えるのだけど、実際にはサンプラーシーケンサー?)が先導する場面ではそれにあわせるので、インプロで音楽するわけではなく、構成の中の自由という事になるのだけど、ころころ音楽が変わるところは流石。ストイックな編成なのに、派手というのも面白い。



またしてもせんがわ劇場に移動して、個人的には最後のセット。ラップトップのイクエ・モリ、ピアノのSylvie Courvoisier、テルミンとヴォイスの巻上公一による演奏。このトリオはAGRA DHARMAというユニット名。

このユニット、アンビエントと鮮烈を行き来する。見た目の派手な音は使わないのだけど、緊張感と緩やかさが行き来して、聴いている方はまどろむ。ここで無理して目を見開いて音を追う事をしても良かったけれど、そうしない事にした。ボーっと、入ってくる音を聴いていて、ジャズが全く無いなあと、思う。

そして、Courvoisierのピアノにやられた。ジャズを感じさせない音の面白さが良いし、どうしてもアグレッシヴな音の取り扱いになる内部奏法も、Courvoisierはまるで12弦ギターでコードを奏でるように響かせたりして、まあ、ハープ的といったほうがいいのかもしれないけれど、とにかくそういう特殊な奏法がすんなりしている。



この後あと2つのセットがあったけれど、これ以上集中力の維持は無理だと思ってさっさと退散。


他の人のブログ見ていたら、ドラびでおはやっぱり開始が遅れたようで。客入れの最中に演奏始めてしまったとか。