Laughin' Nose

ちゃんと考えてみると、パンクというスタイルと言うか概念というかスタンスと言うか、まあとにかくそれとして初めて聴いたのは多分VAPからメジャー・デビューした時のLaughin' Noseだったと思う。自分で買ったのはミニ・アルバムの『SOS』が最初だったはず。そして『Laughin' Roll』で虜。だけど『Meat Market』はオレより先に手に入れた同級生から借りて、でもそれがイマイチで、ラフィンに興味をなくした。それはThe Blue Heartsがメジャー・デビューして、オレの田舎でもライブをやるのを見る事が出来た事も関係していたかもしれない。オレにとってブルハは、初めてライブ・ハウスという場所で見る事が出来たメジャーなバンド、しかも4つの対バンの2番目という、かなり低いポジションの扱いだったけれど、そのおかげでオレはガラガラのそこで活きのいい演奏を思いっきり間近で見る事が出来た。そのインパクトが、どうせ見る事の叶わないラフィンに対して距離を作った。その後ブルハは「リンダ・リンダ」が徐々に広まって、もう、ああいう距離でライブを見る事は出来なくなったし、そのブルハも2ndでちょっと変化を感じて、3rdは先行シングルの「トレイン・トレイン」を聴いて、2度と聴く事はなくなってしまったけれど。

その後ラフィンの『Sixteen』を手にした。というのは、当時暇があればパチンコをしていたのだけど、イマイチ出が悪かった時は現金還元せずに適当なCDを景品として選んでいたからで、その時『Sixteen』を持ち帰った。それにはタイトル曲の「Sixteen」と「Bulldog」というなかなかいい感じの曲があって、ラフィンもまだまだいけるなあ、とか思った。だけどその後、気が付くとラフィンは解散していて、そういうもんだよなあ、と、勝手に納得していた。

そこから数年後、ラフィン再結成をCDショップで知る。インディーからの新作としてラフィンのアルバムがあった。少々驚く。あのラフィンが今更インディーから再起なんて、多分長続きしないと思った。それでもアルバムを手にし、メジャー期よりAA時代に近くてカッコよかったし、その後DBXとのスプリットが出たりして、結構ハードなところと関係している事に驚いたりしたけど、その辺りからそういうものをメインに聴いている年齢でもなくなり、だんだんと気にならなくなった。けど、『Laughin' Roll』の再録は手に入れていた。

昨年の暮れ、レコファンでRoostersのコーナーを見ている時に近くにラフィンのコーナーもある事に気付き、ふとその棚を見ると、過去のものをまとめたCDが廉価でリリースされていて、しかも中古価格だったので懐かしさで手にして、そこから1ヶ月ほどでそれまで手にしていなかったものも揃え、しかも新作『Regeneration』までリリースされやがった。なんかのタイミングがたまたま自分のタイミングと重なった。それで思った。もう日本のパンクなバンドのライブに行くことは無いと考えていたのだけど、今年中にもし単独でライブをラフィンがやるのなら、それに行く。



無駄にイントロが長くなった。



今日。クアトロでラフィンの単独という事で、このサイズのハコで今のラフィンの単独で埋まるのか?とか、勝手に考えたのだけど、少しは隙があるぐらいが後方で余裕を持ってみていられるので好都合。という事で、多分これが日本のパンクなバンドのライブを見る最後の機会である事を意識して、クアトロに向かった。

着。まさかオレみたいなロートルなファンが多勢じゃないだろうな?とちょっと不安だったけれど、ちゃんとそれなりに若い連中が大挙していて安心。やっぱ、パンクはそうあってほしい。オレみたいなのは、古いファンもいるという意味程度にいるだけでいい。



こういう綺麗なハコで日本のパンクなバンドを見たことは無かったので、実際どうなる事かと思っていたけれど、流石は一時期アイドルなバンド並みの人気を持っていたバンド、場の扱い方も心得ているし、例のあれをオープニングに、新作中心のセットも勢いで聴かせる力を持っている。開演予定から30分以上待たされたガキどもはモッシュどころかいきなりダイブが続き、ローディー大変そうだなあと思いながら、でもニヤつく。

中盤辺りから耳なじみの強い曲がいくつか出てくる。「I am I」とか、血が騒ぐ。いや、耳に馴染んでないものも文句無い。

アンコールが2回という構成。曲順とか覚えていないけれど、日本のパンクのアンセムとも言える「Get the Glory」は当然、「Paradise」とか嬉しすぎだし、更にオレの最も好きな曲でもある「London Night」、鳥肌。そしてホントの最後は「Could be So Lonely」。おかげで頭のボルト、緩みっぱなし。