小川紀美代 トリオ

今気付いたのだけど、ライブ鑑賞3連荘だったか・・・。



バンドネオンどころかタンゴという言葉を聞いてもAstor Piazzollaぐらいしか頭に浮かばなかったのだけど、1年前のMarco Cappelliとのデュオと2月に見たDuo Recio-Garciaでのゲストとしての演奏で、バンドネオン奏者として小川紀美代の名前を覚えた。それとホントは、タンゴと聞いて思い浮かぶのはPiazzollaじゃなくてじゃがたら。まあ、それはどうでもいいか。

その小川紀美代を頭に、脇が今堀恒雄水谷浩章という絶妙な面子がピットインでライブという事で、雨の振る中を傘もささずに足を向けた。というか、雨の件は殆ど地下道を通ったので傘が必要が無かっただけだけど。これもどうでもいいな。



楽器編成的にピットインよりクラシックスに向いているような気がしていたのだけど、バンドネオンの独特の響きは、薄暗くセッティングされたピットインのライティングに嵌っていた。小川さんがMCでバンドネオンは女性奏者が少ないと言っていたけれど、小川さんがバンドネオンを弾く姿は絵として美しく官能的に思える時もあり、その印象は濃い。但し、喋るとオッサン化現象が始まったような面もあって、目を覚ましてくれる・・・。

じゃあ、ライブ中はその小川さんに目を奪われていたかと言うと、実はそんな事は無く、どうしても今堀の手元を見る。終始アコギな今堀。タンゴにおけるギターはよく知らないのだけど、今堀のギターはスパニッシュな雰囲気が多々あって、で、やっぱカッコいい。スパニッシュと思いながらも、そういう専門のギタリストは出さないような音を混ぜていて、今堀というギタリストが弾くという理由がハッキリする。

日本の重要なベーシストとして年に数回演奏を聴く事になる水谷だけど、アコースティックなトリオでの演奏を聴くのは初めて。それは要するに、その音を多く聴く事ができるという事になる。アコベの音色がものすごく好きなので、その音色の魅力を上手く活かす奏者が出てくると嬉しいのだけど、勿論水谷はそういう演奏者。だけど、この前の大友良英のトリオの時もそうだった様に左手負傷中という事で、少々演奏時に不都合があるとの事。「大変だなあ」とか思っていたら、その左手負傷の理由を小川さんがMCでばらす。それを聞いて「そんな理由かよ・・・」と、ちょっと呆れる。しかも、小川さんが余計なこと言うので、水谷の演奏中の顔を何度も見てしまう。小川さんより今堀の手元と水谷の顔ばかり見てしまった・・・。



MCでバンドネオンの生い立ちについて説明していたのだけど、そのせいもあってか、やはりオルガンと通ずる響きが感じられるし、なんとなく縦笛的な音の印象もある。演奏されたのは小川さんのオリジナルやアレンジされた古い曲とか色々なのだけど、楽器編成は当然変わらないので、個人的には曲がどうのこうのという事よりも、魅力的な音色を持った3つの楽器の音を聴いて、それだけ、で、満足。



帰りに小川さんのソロ演奏集『月ノ光』を購入。2月のライブの後amazonで『Tangoroid』を手に入れていたのだけど、それ以外は手に入らず、しかもHPをチェックするとソロ演奏集があると知って、ソロ演奏された録音が好きなオレはこの機会で購入。ライブでも2ndの冒頭でソロでの演奏もあったし、手元にソロ演奏集もあるし、これで大分、バンドネオンという楽器の音が染み付いてくる気がする。