Bill Laswell presents … Tokyo Rotation 3

初日。



プロデューサーとして厄介な感じがあって、さらにプレーヤーとしても特に興味深いわけではないBill Laswellなのだけど、日本でライブをやると言われると何故か足を向けてしまう。自分でもよくわからん。



1stがLaswellとサックスの清水靖晃、ドラムに山木秀夫、そしてDJ Yamaという面子。正直、特に興味深い面子ではない。だけど、未だに山木の面白さがわからないし、清水という名前しか知らないサックス吹きを見る機会だし、DJ Yamaってのが何者か全く知らなかったけれど、「もしかしてヤマツカの変名?」とか勝手な期待も持っていた。結果的にヤマツカじゃなかったけれど。

2ndは上記に坂田明が加わる。この3daysはセット毎のチケットなので2ndだけでもいいかという考えもあったのだけど、22:00開演にあわせるのも中途半端なので、結局両方セット見た。



両セットとも基本的な構成は同じで、アヴァンなセッションかと思っていたら意外にもグルーヴィーな展開。しかもレゲエ/ダブを多用。またしてもレゲエ/ダブ。もしかしてちょいアングラな場ではレゲエ/ダブがトレンドなのか? それなら嬉しすぎるわけだけど。



まずは清水が気になる。というのも、名前は知っているのにどんな演奏をするのか、どんな音楽をやるのか全く知らず、勝手に正攻法なジャズ・プレイヤーと思っていた。実際にはサンプラーや(多分)エフェクトも扱い、さらに特殊奏法も体得している器用なタイプ。フレージングに中近東を思わせるエキゾチックなものを多用し、最近そういうフレーズの代名詞的なBrad Shepikの新作『Human Activity Suite』を聴いている事もあって、よく耳に馴染む。

メインのLaswellは的確なグルーヴ。レゲエ/ダブな演奏ではステージにセッティングされた巨大なベースアンプが功を奏し、グリグリな重低音。それをフレットレスで演奏しているからか、いくら音が上がってもやりすぎ感は無い。そして4弦を複弦化したタイプの8弦ベースも持ち込み、こちらではボトルネックでギター的な聴感。さすがに百戦錬磨。

DJ Yamaはこういうセッションに慣れているのか、アナログやらサンプラーやら、多様なDJセットを駆使して貢献。

今夜、最も印象に残ったのは山木。やっとここで、山木というドラマーが評価されている理由がわかってきた。前に見た時は若干もたつき気味のドムドムした印象で、あまり面白いと思わなかったのだけど、今夜はスピードもパワーも手数も申し分なし。場の熱が上がったYamaの扱う打ち込みとの共演は、一見複雑に聴こえながらシンプルな叩き込みで、それがかえって凄みになっていた。

2ndのみの出演となった坂田さんはその個性を見せつけながらも、PAのバランスが悪く清水に比べて音が小さい。重なるとかき消される事もあってちょっと不利だったけれど、一瞬でインプロヴァイザーの強みを見せ付ける辺りにさすがと思う。ヴォーカルのパフォーマンスもハードコアっぽくてカッコよかった。