Humcrush

青山ら辺、最近は年に数回知人と昼間に飯食ったりするぐらいしか足を向けてないけど、あの辺りから表参道までは若い頃には当然の様によく使っていて、それなりに色々思うところ有。

その中でもスパイラルは待合わせに最適で、スパイラルレコーズが出来てからは、待ちあわせの時間よりも早めに来て、試聴機で試聴しまくって何も買わないという最低な客を決め込んでいた。スパイラル自体も結構好きなビルで、東京の街では代官山が一番いい街だと思っているオレは、槙さんの設計が肌に合うってことなのだと思う。



Humcrushは録音物を聴いた事は無く、楽器の組み合わせ的にあまり興味の対象でもないのだけど、Rune Grammofon絡みというのは食指が動く。加えて八木美知依さんと巻上公一が加わったセッションもあるという事で、全然仕事終わってないのにCAYに。ここも、10年前ぐらいに飯食うために来て以来。

前日のMani Neumeierと内橋和久のデュオは結構印象が続いていて、あそこでは2人という自由を聴いたけれど、Humcrushは逆に2人という不自由を思った。キーボードでアナログな音色のシンセ(?)とラップトップを扱うStale Storlokkenと、ドラムとエレクトロニクスのThomas Stronenという組合せは、楽器の組合せから想像できる音色で、音楽としても多分こんな感じと思っていたところから外れない。予想の範疇だからダメという事はないのだけど、インパクトが無くて、正直歯がゆかった。

加えてStronenのドラムは芳垣安洋を彷彿させる部分が多く、その芳垣から幾らかの音色とダイナミズムを足りなくしたような感じがして、まあ、ダイナミズムの部分はあえてそうしているのかもしれないけれど、音数の多少に関わらず平坦な印象。



演奏が長く続いた事も、良い印象にならなかった原因かもしれない。セット間を廃したライブだったのだけど、多分1時間ぐらいHumcrushの2人での演奏が続き、そこに巻上と八木さんが加わった。そこからは、やはり音色が増えた事によって音の濃淡がわかりやすくなる。

そしてその長い演奏が終わった後の次の演奏では、それまでの重なり合うような内容からぶつかり合いも含めたものに変わり、起伏が出てくる。演奏の最後、コーダ的にStorlokkenが独奏で音を鳴らす部分でやっと、北欧からやって来た人を見に来た事への満足を得る事ができた。



Humcrushは知の個性が前に出すぎだと思う。だけどもしかすると、こういうユニットだからこそ、録音物の方が面白いのかもしれないという部分は感じられ、なんとなく複雑。それと、ハコによって印象が変わる可能性を感じる。例えばZUはクアトロとピットインで見た時にはイマイチだったのに、SDLXでは「げっ、カッコいいじゃねえか・・・」と、見方が完全に変わった。今回の組み合わせなら如何にもSDLX向きなのに、なんでCAYだったのだろう。サパークラブ向きじゃないよなあ。