Rokia Traore

ワールド・ミュージックなポピュラー音楽というものを、一応高校生なガキの頃から聴いているのだけど、不思議と聴く対象があまり増えていない。むきになってがんばってみたりする事もあるのだけど、付焼き刃に終わる事多々。なので、注目されるものが出てくると手にしみたりして、もう一度がんばってみたりして、でも身に付かず。それが繰り返されると少々諦めに入り、「所詮オレはロック耳」と言って、ロックに逃げる。そういう時、ロックはオレをあったかく迎えてくれる。なんていう気持ちの悪い事は無いけれど、楽な気分にはさせてくれる。

とにかく、毎年MMの1月号のワールド・ミュージックのベストは参考にしていて、あれを見て手にするものは多い。だけど、インプレを書く事が少ない事からも、イマイチ楽しめていない事はバレバレ。

それでも今年も目を通し、何枚か購入。少しずつ聴き進めるつもりなのだけど、2月号の「Tune In!」で石田昌隆氏がRokia Traoreがベストに入っていない事に異議申し立てをする形で、日本盤が出る『Tchamantche』を宣伝。うまい事やるなあと思いながら、そこまでいうのなら試してみるかと、手を出す。



と、ここまでは1ヶ月ほど前に書いている。続きを書いてアップするつもりだったのだけど、ログにしてしまうと聴かなくなる悪い癖があるので、『Tchamantche』をもう少し聴きたいという気持ちから下書きにしていた。そしたら中村とうよう氏が、MM3月号の「とうようズ・トーク」で石田氏に反論。なかなか面白い展開になってきた。



前置きが長くなったけれど、要するにオレはRokia Traoreを初めて聴くという事を書いておきたかった。

マリ出身でフランスに拠点を置くRokia Traore。この手の活動パターンは珍しくない。当然のように、ヨーロッパ的な洗練が音楽に含まれている。繊細でクールに、静かに音楽が作られている。凄く気の利いた音楽の表面から静かに滲み出るアフリカのエゴ。Billy Holidayに例えられる、可憐で物憂げな歌声。カフェ音として使えるような洒落た音楽といってもいいけれど、そのイメージでの浅はかさだけではない、と思える。けど、洒落た音楽として聴いても問題ない。個人的にはかなり、気に入っている作品。









Rokia Traore 『Tchamantche』