上原知子

昨夜のライブは早く終わったのだけど、バスのタイミングが丁度、悪くて、目の前で逃してしまう。10分ほどの待ちになるのを確認して、先週ここでのバス待ち後に体調が悪くなった事を考慮して、歩いて帰ることにした。翌日普通に出勤なのに。しかも昨夜は場内禁煙で、それでも外で吸う事は黙認してくれるのだけど、入る前に1本吸おうと思って火を点けようとすると、使い捨てライターの着火石が取れてて火が点かず。オレは普段から「自分でライターも持っていないようなやつにタバコを吸う資格はない」と言っているので、人にライターを借りるという事はしない。なのでSDLXにいる間はタバコが吸えなくて、帰り道で見つけたコンビニに入ってライターを購入。でも、歩きタバコは絶対にしないと決めているので、「お前らみたいなタバコ吸うニコ中の田舎もんは、ここで吸え」という地域で指定された喫煙許可のある場所も渋谷までは見当たらず、渋谷に辿り着いてやっとタバコを吹かすという状態。

その間のiPod上原知子の新作『多幸山』。りんけんバンド上原知子。沖縄民謡。六本木から歩いて帰る時にそれ。嵌りすぎ。



りんけんバンドはあまり好きではない。楽しい音楽だけど、オレには響かない。上原さんの1st『Zan』は持っているのだけど、風通しの良すぎる音がイマイチで殆ど聴いていないので、美しいジャケットの印象しか残っていない。なのでこの一派はオレにはあまり縁が無いと思っていたのだけど、3年ほど前に田舎に戻った時に、母親がたまたま見に行ったりんけんバンドのライブは良かったと話していたので、確かにライブという場では映えそうな音楽ではあると思ったりはしていた。

MMの2月号。『多幸山』がアルバム・ピックアップで扱われ、アルバム・レビューのワールドミュージックの項目で中村とうよう氏から8点という快挙。とうよう氏が沖縄民謡な音楽に高めの点をつけることは珍しく、これは期待できるのかもしれないと思って、一昨日レコファンに置いてあったのを購入した。ジャケットがイマイチなのが逆にインパクト。

歌唱は当然として、三線と太鼓も上原さんが演奏。MMでも書いてあったように、上原さんの高音の歌声が、全くぶれずに堂々と響く。ここにある芯は、幼少の頃から歌い続けてきた者が達成した領域。

沖縄民謡の歌手という事では、オレにとっては大城美佐子さんという特別な声の持ち主が最初に来るのだけど、知子ネーネーも耳を離れない美声。

その声を聴きながら六本木〜渋谷という猥雑で品の無い場所を歩いていると、この音楽を知る事が出来た幸運はオレにもまだ少しのツキが残っているのかもしれないとか、錯覚できる。









上原知子 『多幸山』