Microphone Pager

日本におけるヒップホップが雨風防いで飯の食える場所に変わっていくのを見ていたら、それまで聴き続けていた音より新しい連中が出てきた。そろそろその辺にも耳ヲカスベキと思って、当時話題になっていたDaboの『Platium Tongue』を手にする。正直、どこがよいのか全然理解できず、これは世代の違いだと思って新しい連中まで聴く事は止める事にした。本当は、ずっと聴き続けるリスナーがいなければ真の意味でのシーンの成熟みたいなものは望めないと思うのだけど、オレには他に聴きたいものが沢山あるし、別にヒップホップを完全シャットアウトするわけでもないから、オレと同じ世代でも、オレよりヒップホップが好きなやつらは沢山いるはずなので、そういうやつらが見守っていればいいと思った。

そんな態度でMicrophone Pagerの再結成の報に接する。1番最初に、本気でカッコいいと思った日本語ラップがMP。MuroTwigyのラップ。しかも「改正開始08」なんていう曲まで準備されている。これは現在のシーンに対する宣戦布告?とか、妙に高ぶって期待が膨らんだ。

リリースされた『王道楽士』。John Fruscianteの新作やBlankey Jet Cityのレアトラック集&ライブ盤と一緒に購入した中で、MPの新作を最初に聴いた。自分でもこれを聴きたいという気持ちがそこまで大きい事に驚いた。そしてその1度の再生で次回は考えていない。

今の日本のヒップホップの主流がどんな音なのか全然知らないけれど、恐らく『王道楽士』はそこからかけ離れたものではないはず。知らない名前の方が多いゲスト陣も、現状を反映したものなのだろうと思う。だけど、トラックもラップも、なんとなくツルっとしていて、全く引っかからない。簡単に言えば面白くない。

個人的には、アメリカのベテラン連中が深化する事で存在感を増していくのと同じ方向であって欲しかったのだけど、MPとしては違う方を選んだのだと思う。但し、オレには面白くないだけで、今の若いBには面白いものかもしれないし、そうであって欲しいと思う。



こんな感想になったけれど、あの頃『Don't Turn Off Your Light』と『Microphone Pager』をヘヴィロテした事は忘れていない。









Microphone Pager 『王道楽士』




と、書いてからSnoop Dogの時の事を思い出し、とりあえずもう1回だけ聴いてみた。すると最初に聴いた時より音が残る。ゲストMCが多すぎでMicrophone PagerというよりMP Posseのアルバムという感じだし、ハードコアというよりパーティーラップな雰囲気があったりするし、過去のMPの引用が多かったりするけれど、なんかそれはそれでいいかと。完成度みたいなものだけに注意すれば流石なモノはあるし、勝手にMP Posseとして聴けば色んな声のラップが聴けるのは楽しくもある。

だけどどうせなら、やはり続きが欲しい。今度は大人なハードを。



Don't Forget to My Men