Jim O'Rourke

昨年見たライブの中で、最も印象的だったのはJim O'Rourkeの演奏。自身の音の発信、音楽のコントロール、音楽を作るという行為が目の前で繰り広げられる場面を刺激として見せつける事が出来る稀有。

そのO'Rourkeは昨年2枚のアルバムをリリースしている。



実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』は同名映画のサントラで、ギターロックありフリージャズありO'Rourkeの歌ありの内容で、それぞれは面白くても、アルバムとしてみれば雑多な印象が残り、聴き手としても雑多な聴き方を選んでしまった。



Long Night』は90年に音楽学校を卒業する際に作ったのもらしく、発掘音源、或いは未発表音源という類のもの。2枚組でどちらも1トラック。1枚目が1時間18分、2枚目が1時間19分。収録されているのはドローン。電子音楽とかミニマルとか補足をつけてもいい。これまでのO'Rourkeの作品は勿論、多少は現代音楽やそこから連なる実験音楽の類も耳にしているので、ドローンと言われるものも好き嫌いでは無く耳にしている。それでも特にその音楽を気に入ったりしていなかったし、こういうものはそういうものとしてなんとなく受け入れていた。だけど『Long Night』は、ドローンというモノの中で初めて気に入った作品。オルガンと思われる電子的な音がわかりやすい変化を持たずに中心で発せられ続ける。その音の持つ荘厳な響きが、それの惹き付けによって、2時間半を超える時間をこの作品を聴く為に使う事が出来る。

この作品を聴く事で感じるものを、同じ演奏がライブで行われたとしても得ることは出来ない。録音物であるからこそ聴くタイミングが選べるし、余計な周りが目や耳に入らない状況をライブという場では要求出来ない。









Jim O'Rourke 『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』









Jim O'Rourke 『Long Night』