BLANC

久々に存分にストレートのロックを聴いて、そこが自分のいるべき場所だとか勝手に思ったりしたくせに、やはり即興で音楽が出てくる場所も好きなわけで。今夜はクラシックス酒井俊さんのライブもあったのだけど、熟考の末スーパーデラックス。とりあえず今夜の面子をSDLXのスケジュールから下記にコピペ。



Jacques Demierre (p - from スイス)

Isabelle Duthoit (vo, cl - from フランス)

今井和雄 (g)

齋藤徹 (b)

Christian Kesten (vo - from ドイツ)

Alexandre Simon (video - from スイス)



日本人2人のうち、今井は昨年の数回のライブで今後も出来るだけ音を聴く事にしたギタリスト。齋藤徹は、もう3年近く前にMichel Donedaのライブでゲストで出てきたのを聴いているのだけど、そのログもあるにも拘らず適当な内容なので、読み返してもどんな演奏だったかわからない。というより、齋藤の演奏に触れていない。というか、Donedaも含めて演奏内容に全く触れていない・・・。

まあいい。

Jacques Demierreは1年数ヶ月前に同じくSDLXで、八木美知依さんとMetal Polishとの演奏を見ている。こっちのログはまだ少しマトモ。

Isabelle DuthoitとChristian KestenとAlexandre Simonは全く知らない。



演奏はSDLXの中央で、奏者が向かい合うように行われる。但し、ピアノのDemierreは背中を向ける。当たり前。

1stは1時間15分の演奏。即興ではなくスコアがあった。皆、それを見ながら演奏している。2分ほどの音の出があった後、消音。これが延々繰り返される。音の絡み合いもある程度拘束があったと思われ、だからやりたい事をやるというより、テーマに即した音の発信。消えた後に出てくる内容は毎回異なるのだけど、基本的に弱音的な演奏で、音の感触としては硬質なフリー・インプロ。相変わらずの観客の少なさも手伝い、繊細に音が響く。聴く方には固唾を呑むという緊張感。それらの音と同時に進行する投射された映像。PBから発せられるその映像は、動画ではなく静止画。カメラで撮られたと思われるその静止画は、ほんの少しだけエフェクトがかかる事もあるけれど、基本的には投射されるのみ。だけどその画の切り取り方が4:3や16:9といったものではなく、1:10ぐらいの縦長。これがSDLXの壁面に写し出される。その画の切り取り方と、写した画のセンスだけで表現が存在。

長めの1stだったので2ndは無いのかと思ったら、15分ほどの休憩の後に、今度は映像を端折った音のみで行われた。

その2ndはスコアと映像無しでの即興演奏。映像との相乗だった1stと違い、音にのみ神経が持っていける。1stでも印象に残っていたDuthoitは、吉田アミのような異形の声。その声の危険な感触、声のコントロールの完成度、かなりインパクトがある。さらに中盤から終盤にはクラリネットを扱い、それが他の演奏と無関係にゆっくりとミニマルに音を奏で、白熱した場では消えかかりつつもかすかに響いたり。

全員がモニター程度のスピーカーをつないだぐらいの状態なので、齋藤のアルコは全体の音を包み込む。時折エレクトリックにも似た響き。齋藤については年末にCDを買ったので、そのうち色々ウダウダ。

1stの印象があまり無いヴォイスのKestenは、2ndは椅子を演奏。座った椅子を前後するだけで音は出るわけで、それから最終的にはその椅子を持ち上げてこすってみたり。そういうパフォーマンスが音として演奏に参加できるのも、フリー・インプロという場のもつ独特。

ピアノのDemierreは、元々ピアノという楽器の持つ音の目立ちが強いので、他者の音の介在があっても、簡単にすり抜ける。

そして今井。今回はアコースティックなギター。それをアンプせずにマイクで音を拾っている。なので、音そのものは他に比べると圧倒的に小さいのだけど、1人だけ違うレイヤーを持っているかのように浮き上がる。