Satoko Fujii Orchestra Tokyo

昨夜は23:00過ぎにライブが終わり、バスの最終は終わっていて地下鉄も中途半端なので久々に歩いて帰った。4時間立ちっぱなしの後に45分ほどの歩行。そんななので、それと明日はいよいよあのライブなので、ホントは今夜はおとなしくして居たかったのだけど、Satoko Fujii FourでのKelly Churkoの音に興味を持ったままだったので、久しぶりに藤井郷子オーケストラのライブに足を向けた。もちろん東京バンド。そして今年初のピットイン。



1st、まるで見透かされているかのようにChurkoの印象の強いセットになった。主に新しい曲を演奏したらしいのだけど、まるでChurkoをメインにしたかのような印象。もちろん、オレが意識的にChurkoの音を追っていたという事もあると思うけれど。とにかくあの引っ掻くような音が再び聴けて、さらに、バックに回った時もとてもジャズ・ギターとは言えない音を扱う。残念ながら視覚的に手元がよくわからなかったのだけど、恐らく大友良英の様に何かを弦に押し当てて弾く場面があった。そこでの音がオレの言う引っ掻くような音なのだけど、大友の音がフィードバックするのと違い、Churkoの音は神経質に鳴り響く。Churkoのインパクトは継続。



2ndは、NYオケの『The Future of the Past』をあえて東京オケで演奏。正直な話、藤井さんのオケでオレがCDを何度も耳にしたのはNYオケで、次いで名古屋オケ。東京オケは購入時に何度か聴いて、そのまま。なので東京オケの個性をあまり掴めていない。その東京オケがNYオケの作品をやる事で、構成はともかく、書く演奏者の個性が見えてきた。そのなかでも最も印象に残ったのは、トロンボーンの古池寿浩。古池は1stでも良い印象のソロがあったのだけど、2ndではフリージャズからも抜け出したフリーインプロ的なアプローチ。ロング・トーンを連ねる。NYオケが、無伴奏でソロをとる印象があるのだけど、それと同じ事を東京オケがやる。そのなかでの古池のソロは、前後が途切れてしまったかのように鳴り響く。そしてソロの終盤、田村夏樹が多様のアプロ−チで音を重ねる。インプロヴァイザーのそれ。ここがとにかく凄まじかった。

そしてもう1人、バリトン・サックスの吉田隆一。blacksheepのリーダー。最後の曲「Bennie's Waltz」で、先発するトランペットの福本佳仁のソロのバックで羅列する音からトーンを活かした音を扱い、さらに鳴く様に歌い上げるソロ。それまではよく喋る印象しかなかったのだけど、ここで一気に印象を残した。



藤井さんのオケの最大の面白さは、やはり藤井さんのあの曲が大人数で分厚い音になって響くところだと思う。今夜は久々にそれを思いっきり味わい、そして印象に残る音もあって、結局このバンドの次のピットインも意識せざるを得なくなった。



それにしても相変わらず客席には空席が多い。もったいないな、と。David MurrayもAtomicもいいですけど、ジャズ耳で聴けば藤井さんのバンドのライブは全然劣らないと思うんだけど。22日は得三で名古屋オケのライブらしいので、そこが盛況になって、「東京ってダサっ」って、名古屋の人に言われたい。しかも22日はゲストでJim O'Rourkeも加わる。名古屋オケには臼井康浩もいるのに・・・。羨ましい・・・。