My Favorite CD (2008 Best10+2)
今年も誰にも依頼されてなくても勝手に考えて勝手に公表。インストと歌ものへの分割を止めて、10+10も止めて月毎の12枚に絞った。追記で色々補足。
年末に1年のベストを考えると、当然年末なセレクトになる。そこに納得が出来なかったので、あえて月毎に区切って考えるとスッキリした。だけど必ずしもその月に聴いたモノというわけにも行かず、少々手は加えた。でもそれぐらいはOKなはず。しかし、狙ったわけじゃないのに、妙にバランスがとれたセレクトになった。
Jan. Marc Ribot 『Exercises in Futility』
2月にリリースされた作品だけど、1月は殆ど新作を聴いてないのでこの枠は2月からこの作品を持ってきた。この作品のインプレのログを書いていない。書いても単純にこの音色が好きという事しか書く事が無かったからで、書いても良かったけど書かなくてもいいやという気持ちだった。この作品を簡単に言えば、Ribotというアヴァン系ギタリストによる無伴奏ソロ集。作曲されたものか即興かはどうでもよくて、Ribotの選ぶ音色を追うだけで十分。
Feb. Black Crowes 『Warpaint』
結果的にストレートなロックとして唯一選んだ。単に猥雑にロックしているこの作品の時代と全く関係が無いところが、逆に印象深いものになった。
Mar. Pete Rock 『NY's Finest』
これも結果的に唯一のヒップホップになった。10何年も前から聴き続けて、この作品でオレにとっては重要なミュージシャンである事に気付いた。ざらついていながら硬質、でもファンクネス溢れる作品。
Apr. Raphael Sebbag 『El Fantasma De La Libertad』
90年代に生まれたといえる日本のクラブ音楽シーン。それの結実がこの作品だと思う。ラテンを基調としたこの音楽は芳醇。
May. Yusa 『Haiku』
この作品とMudhoneyの『Lucky Ones』は同じぐらいの印象があるのだけど、聴いた回数ではYusaの方が多かったはずなのでこの結果。ラテン音楽の新世代が持つ洗練は、クールな感覚。
Jun. Bill Frisell 『History, Mystery』
こっちもインプレを書いていない。Frisellは同時期に『All Hat』というサントラも出していて、そのせいでめんどくさくなってインプレは書かなかった。こっちも結果的に唯一選んだアメリカーナな作品。もしその枠で選ぶと結構色々あるのだけど、多分選びきれないのでこれが代表。歌モノではないけれど、ストリングスを配した音像やカバー曲の選曲なども含めて、全てが秀逸。そして激しくアメリカ。
Jul. Melody Gardot 『Worrisome Heart』
聴いた瞬間に今年のこれに絶対選ぶことになるとわかった作品。文句なしの傑作。雰囲気先行と見る向きもあるけど、そういうものとは全く趣が違う。ちゃんと聴け。
Aug. The Heavymanners 『The Heavymanners』
9月末のリリースだけど8月枠に持ってきた。無理やりだな。とにかく、この低音に吹っ飛ばされる。
Sep. Soul Flower Union 『Cante Diaspora』
耳にしたのは10月になってからだけど、リリース日が9月という事でむりやりそっちの枠に当てはめた。日本代表の音。
Oct. Orquesta Nudge! Nudge! 『Rhythm Chant』
パーカッション・アンサンブルという、一般受けしそうなしなさそうな微妙なイメージのONNだけど、クールなアンサンブルは、クラブ・カルチャーの連中にこそ受ける要素が多々ある。
Nov. さがゆき / 渋谷毅 / 潮先郁男 『We'll Meet Again』
この作品は6月のリリースだったようだけど、オレが購入したのは11月。しかも、個人的に最もCDを購入したのが11月。その中でこの作品を最も繰り返し聴いた。さがゆきという人の歌は、大友良英との『see you in a dream』ぐらいしか印象に残っていなかった。そのさがさんがピアノの渋谷毅とギターの潮先郁男の組んだ『We'll Meet Again』は、内向きに情熱を傾けるジャズ・ヴォーカルの表現力を、インスト陣の美しい音色と相成って完成させた作品。これもインプレは書いてない。
Dec. Fennesz 『Black Sea』
Martin Brandlmayr / Werner Dafeldecker / Christian Fenneszの『till the old world's blown up and a new one is created』とどちらか?というとこで悩んだ結果。現代のインスト音楽だからこそ表現可能な音。というわかったような説明より、単純にFenneszの音が好きなだけ。という本音の方が話が早い。こっちもインプレは書いてない。
以下、ベストには選べなかったけれど印象に残った作品。
藤井一彦 『Lazy Fellow』
金子マリ + 渋谷毅 『Mari Sings Along with Shibuya San』
渋谷毅 / 松本治 『帰る方法3』
Grace Jones 『Hurricane』
福富幸宏 『Contact』
Madlib 『Wlib Am: King of the Wigflip』
Omara Portuondo 『Gracias』
藤井郷子 ma-do 『Heat Wave』
藤井郷子オーケストラ NY 『Summer Suite』
Alejandro Franov 『Axia』
Charlie Haden Family & Friends 『Rambling Boy』
Loudon Wainwright III 『Recovery』
Rodney Crowell 『Sex & Gasoline』
Gang Gang Dance 『Saint Dymphna』
Melvins 『Nude with Boots』
Jim O'Rourke 『Long Night』
花田裕之 『NAGARE at SOAP 2007』
Beck 『Modern Guilt』
山内雄喜 『ALANI-Sprit of Slack Key Guitar』
Lee Perry 『The Mighty Upsetter』
Joy Heights 『Country Kill』
The Wedding Present 『El Rey』
うつみようこ & YOKOLOCO BAND 『Adult Noize』
藤井郷子トリオ 『Trace a River』
Junk Box 『Cloudy Then Sunny』
Ryoji Ikeda 『Test Pattern』
Steve Reich 『Daniel Variations』
El-Malo 『Noface Butt 2 Eyes』
Daniel Lanois 『Here is What is』
Hank Roberts 『Green』
今堀恒雄 / 吉田達也 『Dots』
この中の痛恨がOmara Portuondo。これ、月ごとじゃなくてベスト10なら確実に入れている・・・。Mudhoneyも・・・。
それと、何気に藤井さんの作品がこっちのリストに多い。購入時はあまり聴いてなかったのだけど、『Trace a River』のインプレを書いた後、他の作品も聴きだしたら止まらなくなった。リリース数が多くて1枚のアルバムという意味で分散してしまったので、もしリリースされたものが1枚か2枚なら、ベストの枠に入っていた。
オレが最も手にしているジャンルはフリー(ジャズ)とかアヴァンなのだけど、その辺は殆ど選べなかった。それはCDの内容がどうのこうのというより、あの手の音を録音物で繰り返し聴くという事が出来なくなったという理由。ライブでの時間を思いっきり音を聴く事に神経を傾けた後に、録音物を同じ態度で聴く事は出来ない。ライブ後の物販もあまり使わないのは、そこで買ったものは結局ほとんど耳にしていない事が多いからで、この辺は色々と悩みのタネ。例えばCDのインプレも書いたAtomicは、ライブ後は各メンバーのそれぞれの作品も含めて一切耳にしていない。だけどHeavymannersやJoy Heights、ONNなんかはライブ後も繰り返し耳にしたし、SFUに至っては、ライブがイマイチだった事もあってCDの方が印象に残っている。
来年はCDの購入数も減らそうと思う。マジで1/3ぐらいに減らしたい。ハッキリ言って、数えるのもうイヤなぐらい買っている。新作だけじゃなくて、旧作や再発や中古で拾ったりしていると、膨大になる。
ではまた。