Guns N' Roses

明日は今年最後のライブ鑑賞があるので、これが今年最後のCDのインプレ。大晦日は今年のベストCDの羅列。この2年ぐらいそのベストを考えるのが楽しみであり苦しみでもあった。単なる趣味の自由研究の発表みたいなものなのに、あまりにも考える時間が取られてしまうので、今回はルールを作ってあっさり決定。既にログも用意済みなのだけど、例年通り最終日に公開。



という事で本年最後のCDのインプレはGuns N' Roses。「笑いたいやつは笑え。信じるやつはついて来い。」ってのは尾崎豊のMCだったっけ? まあいい。

基本的にプログレが苦手なオレは、その代わり(?)パンクが好きで、なんやかんやヘヴィメタとかハードロックにも音としては悪い印象は無い。GN'Rはヘヴィメタとかハードロックな音なのだけど、下地にパンクが見え隠れするところが気に入っている。でも『Appetite for Destruction』がリリースされた頃は無視。だけど知人が、よく一緒に飲みに行った所にあったPVの流れるジュークボックスでGN'Rの「Paradice City」を毎回選曲し、それを見ているうちに自然とGN'Rを聴くようになり、『GN'R Lies』もリリースされていたけれど、なんとなく『EP』(後々プレミアの付く事になった5曲のライブ+「Sweet Child O' Mine」が収録されているヤツ)を購入。そして『Use Your Illusion I & II』はフライング販売で購入。とんでもなく売れまくっているバンドなのだけど、普通にカッコいいと思った。そして『The Spaghetti Incident?』がリリースされ、これが結局最も気に入るGN'Rのアルバムになる。



長くなるのでこの辺で端折る。



と思ったけど少しだけ続ける。



順風満帆に見えたGN'Rだったけれど、Izzy Stradlin、Slashが脱退し、それからは混迷。先の見えないバンドになり、数年後、ベースにTommy Stinson、そしてギターにBucketheadが加入というニュース。特にBucketheadが加わったのは青天の霹靂。WilcoにNels Clineが加わった時以上の衝撃。ミスチル大友良英が加わるような惨劇。Derek BaileyJohn Zornとの共演歴のあるアングラの変態ギタリストがGN'Rに加入。冗談だと思った。だけどそれは冗談ではなくて、Bucketheadが加わったGN'Rはライブ活動をしていた。当然、Bucketheadの個性が活きたアルバムのリリースを期待したけど、噂はあれど、なかなか出てこない。そうこうするうちに結局Buckethead脱退。なんだそら?ってなもん。



という事で、『Chinese Democracy』はとにかく待たされた新作。もうGN'Rの新作は出ないと思っていた。というか、そんな事をイチイチ頭に残していなかった。そんな状態で『Chinese Democracy』がリリースという報が入ったけど、「どうせまた・・・」と、Dr Pepperの偉い人が思ったようにオレも思った。ところが今回はホントにリリース。新作が予定通りリリースされる事がニュースになるバンドも珍しい。



パンクとLAメタルの融合だった『Appetite for Destruction』、アコースティックな楽曲が印象的な『GN'R Lies』、ブルース・ロックの拡大版『Use Your Illusion I & II』、パンクなカバー集『The Spaghetti Incident?』と、企画盤も含めてこれまでGN'Rは同じ路線のアルバムを作ってこなかった。『Chinese Democracy』もその繋がりで、今までに無くミドルテンポな楽曲を多く含んだ作品に仕上がっている。

アルバムのクレジットを見ると、Bucketheadの名を多々見つける事ができる。という事は、やはりあの頃リリースの噂があったものが下敷きになっているか、或いはほぼそのままで日の目を見たのかもしれないけれど、Bucketheadの名を見つけられるだけでニヤついてしまう。

とは言っても、特にBucketheadが気になる作品では無い。バンドとしての音は聴こえてこない。それぐらい、研磨されし尽くした作品。音の表情の見えにくさは、全てが高度な打ち込みの技術で作られたと言われれば納得出来てしまう程。録音物の作品としては、ある種の到達点すら感じる。出来上がりすぎたトラックと、AXLの衰えない声。個人的にAXLは、最も優れたロック・ヴォーカリストと言わざるを得ない。好き嫌いはあるとしても、これだけのロック・ヴォーカリゼーションは他には見つけにくい。圧倒的過ぎる存在感。

2008年はGN'Rの新作がリリースされた年という言い方の出来る程の内容とは思えないけれど、孤高という印象は残った。









Guns N' Roses 『Chinese Democracy