Paul Weller

普段、自分を表す言葉として、ネタとして使うのが、「オレの東京は狭い。渋谷〜新宿しかわからないし、そこで全てが完結している。」という事。この前、生まれも育ちも東京の知人とテリトリー外だけど沖縄料理屋という中途半端なところで飲んでいて、その話をしたら「潔くていいんじゃないの? オレとか渋谷全然わからないし」と、誉めてるのか貶してるかよくわからない事を言われた。

で、今日。自分が仕事をもらっている企業が明日から冬季休業になるので、仕事も早めに上がり、昨日頭に浮かんだことを行動に移す。まず茶水のユニオン。茶水に行く事が何年ぶりなのか、考えてもわからないぐらいに久しぶり。なので右も左もわからず、だけどちゃんとユニオンに到着して『梅津和時、演歌を吹く。』を購入してダウトのCD-Rをもらう。そして渋谷に戻るために神保町の駅に向かう。ここもかなり久しぶり。10何年も前は半蔵門駅のところで働いていたので、その頃、必要な書籍があればここに来ていた。それ以外にここに用はないので、ここも10何年ぶりという事になる。懐かしすぎる・・・。センチメンタルな気分で半蔵門線に乗り込んで渋谷。タワレコ。ホッとする。まずは2階に行ってLovejoyの『あの場所へ』を手に取る。そして何を思ったか、Laughin' Noseの『Laughin' Complete AA Tracks』も。その後3階4階5階と回ったけれど、とりあえず我慢して昨日も行ったレコファンにまたしても向かう。そこで昨日は保留にした日野皓正の『寂光』とThe Roostersの『Live 1982』を手にし、さらに中古でLaughin' Noseの『Laughin' Complete EMI Tracks』と『Am a Live?』と『Get Set Goal』を・・・。何故今更ラフィンなのか?は、なんとなくというだけで特に理由は無い。しっかし、こんな事でいいのか?という思考はある。



その間聴いていたのはPaul Wellerの『At the BBC』で、もちろん4枚組みの方を購入していた。結構な時間うろついていたにも拘らず、結局自室に戻るまでアルバムを聴き終われなかった。

夏頃にリリースされたWellerの新作『22 Dreams』は期待の新作だったのだけど、正直肩透かしな印象の作品。というか、本音を言えば『Stanley Road』以降の作品はどれもそんな感じで、期待に沿う出来のものは無かった。Paul Wellerに多大な期待をしてしまうのは何故か?というと、やはり出自がパンクという点がある。ロンドンのパンクから排出されたいくつものバンドから、音楽的に安定して歳を重ねているのはWellerしかいない。Joe Strummerでさえも& the Mescalerosが付くまでは消えたような存在だった。そういう勝手な期待を背負わされたWellerは、それでも無骨な態度で音楽し続け、信頼を得ている。そのピークが『Stanley Road』だったと、今にして思う。

それ以降のものもそれなりに聴いてきたし、ダメな作品というものは皆無なのだけど、そろそろ『Stanley Road』を払拭させるものが出てくる期待をしていた。だけど『22 Dreams』はそういう作品ではない。

はじめて耳にしたとき、これまでは必ずあったキャッチーな楽曲が見つけられず、どこを頼りにこのアルバムを聴けばいいのかわからなかった。それから何度か繰り返し聴いて、それでもよくわからず、だけど渋いという類のものでもなく、その掴みどころの無さに、BGM的な役割の音楽としてしか意味を見つけきれなくなった。でもWellerの新作という事もあり、時折耳にして、いつのまにか曲が頭に残っている。ごちゃごちゃとしたアルバムではあるけれどWellerが歌っているという事で統一感はあり、大して面白くないインストな曲も気分転換の役割は持っていて、なんていうか、まあまあそれなりにいいんじゃないか?と、偉そうな態度の感想が残るようになった。

新機軸みたいな部分もあるのだけど、様になってなくて、というか、オレはStyle Councilも言われているほどスタイリッシュだとは思わなかったので、Wellerって実は結構不器用な人だと思っている。でも、そこがいいんじゃないかと。器用に何でもこなすんじゃなくて、とりあえずやってみて、なんとか形にして、でもちょっとイマイチで。そのくせ何故かカッコいい。









Paul Weller 『22 Dreams』